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八条学園騒動記

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第六百八十六話 カラフルにふんだんにその四

「それでもね」
「マイナーだから」
「だからよ」
「この黒ビールもだね」
「宣伝しましょう」
 是非にと言うのだった。
「ここはね」
「それじゃあね」
「お料理に加えて、しかし」
「しかし?」
「いや、今日の鱒いいわね」
 そのフライを食べつつ話した。
「大きくてね」
「揚げ具合もだね」
「カナダ風に揚げたけれど」
「それがいいね」
「鱒のフライ自体は」
 これはというと。
「連合全体でよく食べるけれどね」
「そうだよね」
 シッドもそれはと答えた。
「お魚のフライは多いし」
「それで鱒もね」
「あれだよね、スターリンなんか」 
 ジョージア出身のこの独裁者はというのだ。
「わざわざ水槽で泳いでいる鱒を見て」
「それでそのうちの一匹を選んでよ」
「食べていたね」
「あの人メニューはそんなに贅沢じゃなかったけれど」
 それでもというのだ。
「まあソ連の状況が状況で」
「飢餓状態でね」
「その中でのことだったから」
「自分だけ贅沢していたってね」
「言われていたけれど」
 それでもというのだ。
「その中でね」
「鱒のフライも食べていたんだ」
「好きだったみたいよ、他にはね」 
 メアリーはさらに話していった。
「羊の串焼きとかロシア風のサラダとか黒パンに玉葱とキャビア混ぜたの乗せたものとか」
「そうしたのが好きだったんだ」
「キャビアは贅沢でも」
「何か基本メニューは普通だね」
「独裁者にしてはね」
「独裁者っていうと」
 シッドは考える顔で話した。
「もう食事なんてね」
「贅沢三昧よね」
「市民は餓えさせて」
「サハラではよくいたわね」
「そうだけれどね」 
 連合は民主政治の国で独裁者は出ない様になっている、精々ワンマン程度だ。そして贅沢が好きな政治家は出ている。
「スターリンはね」
「そんなにだね」
「メニュー自体は質素だったのよ」
「案外だね」
「私達から見るとね」
 今の連合市民からというのだ。
「そうだったのよ、ヒトラーだってね」
「ああ、あの人も質素だったね」
「紅茶が好きで」
 それでというのだ。
「ケーキやお菓子は好きだったけれど」
「それでもだね」
「メニューはね」
 これ自体はというのだ。
「スターリンと同じで」
「質素だったんだね」
「そうよ、それでもスターリンはこだわりがあって」
 食事にというのだ。 
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