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ドリトル先生とタキタロウ

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第九幕その九

「このきりたんぽも出来たんだね」
「お米は暖かいところの作物だけれど」
 このことはダブダブが言いました。
「よくこんな寒いところでも出来るね」
「それが凄いわ」
 ポリネシアはしみじみとした口調で述べました。
「考えてみたら」
「そう、東北は本当に飢饉に苦しめられてきたよ」 
 先生もその通りだとお話します。
「長い間ね」
「江戸時代だってそうだったね」
「天明や天保の頃に」
「それでも欧州の豊作の時より餓えた人少なかったみたいだけれどね」
「飢饉の時でも」
「それは欧州がこの東北よりさらに寒いからだよ」
 だからだというのです。
「パリが宗谷岬より北にあってね」
「イタリアでこの東北位だから」
「そう思うと欧州って寒いね」
「実際冬はかなり厳しいし」
「夜も長いからね」
「しかも土地は痩せているしね」
 欧州はというのです。
「だから欧州の豊作の時よりもね」
「日本の飢饉の方がよかったんだ」
「そうなっていたんだ」
「大変な状況でも」
「この東北でもね。それでお米が多いのはね」
 東北ではです。
「お米の品種改良でだよ」
「東北でも育つ様になって」
「それでなんだね」
「お米を植えられる様になった」
「それでなんだ」
「そうだよ、ただ本当に飢饉の心配はいつもあって」 
 その為にというのです。
「非常食としてね」
「お蕎麦があったんだね」
「飢饉の時に食べる為に」
「そうだったんだ」
「そうだよ、それと寒くて冬は中々外に出られないから」 
 このこともあってというのです。
「甘酒やお漬けものもよく飲んで食べたんだ」
「ああ、東北って甘酒も多いね」
「そうだね」
「甘酒で身体温めて」
「それでお漬けものでビタミンも補給していたんだ」
「そうだよ、東北は寒いだけにね」
 その為にというのです。
「そこから何かと文化が発展してきたんだ」
「寒いなら寒いで」
「お家が三角形になって」
「お蕎麦が普及して」
「それでお米も品種改良されたんだね」
「そうだよ、それとね」 
 先生はきりたんぽを食べながら皆にさらにお話しました。
「やがて林檎やさくらんぼもね」
「作る様になったね」
「東北では」
「青森の林檎にこの山形のさくらんぼ」
「そういうものが作られる様になったね」
「それで暮らせる様になったんだ」
 果物を植えて売ってというのです。
「やがてね」
「それはいいことだね」
「昔は飢饉に苦しめられたけれど」
「今は違うんだね」
「そうだね」
「そうなったよ、いいことにね」 
 先生は笑顔でお話しました。 
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