恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百三十四話 徐庶、敵陣を見るのことその九
「血水になるわ」
「だからか」
「何も出来ないしする必要はないわ」
そういうことだというのだ。
「見ているだけでいいのよ」
「そうか。それにしてもな」
「そうしたやり方はまだるっこしいですか」
「まあな」
左慈は己の嗜好から述べた。
「俺としてはな」
「積極的に攻めてこそね」
「ああ、しかし妖術で移動して戦うんならな」
「それには乗ってくれるわね」
「喜んでな」
そうすると答えるのだった。そうしてだった。
左慈はだ。司馬尉にまた言った。
「で、いいか?」
「何かしら、今度は」
「そろそろ何か食わないか?」
朝なのでだ。それでだった。
「飯をな。どうだ」
「そうね。ちゃんと食べないとね」
「俺達にしてもな」
身体がもたない。だからだというのだ。
「そうするか」
「そうね。それではお料理は」
「既に用意してあります」
ゲーニッツが恭しく礼儀正しく一礼してから彼等に話す。
「それを召し上がりましょう」
「お粥ですよ」
今度は于吉が言ってきた。
「それをどうぞ」
「お粥ね」
粥と聞いてだ。司馬尉はだ。
微かに笑ってだ。それで応えたのである。
「朝にお粥は最高の御馳走ね」
「粗食だと言うと思ったんだがな」
「そこは好みの違いかしら」
社にもその笑みで返す。
「お粥はただ炊くだけのものではないから」
「はい、茸を入れさせてもらいました」
ゲーニッツの好物のだ。それをだというのだ。
「西洋風の。所謂リゾットですが」
「あのお粥ね」
「司馬尉さんもお気に入りですね」
「お粥といっても色々あるのはわかったわ」
あちらの世界の者達との交流でだ。司馬尉も知ったのだ。
そのうえでだ。美味いものを期待する顔でだ。彼女は述べた。
「日本のものもその西洋のものもね」
「そしてこの国のものもですね」
「ええ。しかも米のものだけではなくて」
こうしたこともわかったというのだ。
「麦を使ったものもね」
「この国もかつては稗や粟の粥を食べていましたね」
「ええ、そうよ」
「しかし今はですか」
「米のお粥が主流ね」
そうだというのだ。
「麦、特に貴方が時々食べている牛の乳を使った」
「オートミールですか」
「あれはないわね」
中華にはない料理だ。そもそも乳を使った料理自体がないのだ。
それでだ。司馬尉も今言うのだった。
「珍しい味だわ」
「御気に召されたでしょうか」
「ええ、あれはあれでね」
そうだとだ。笑顔で返す司馬尉だった。そしてだ。
今はだ。こうゲーニッツに述べた。
「けれど今はね」
「茸のリゾットをですね」
「ええ、それを頂くわ」
「茸の他にはトマトとベーコンも入れています」
茸だけではなかった。入れているのは。
「それを召し上がって身体を温めましょう」
「それと共に英気を養ってね」
「そうしましょう」
こうした話をしてだ。彼等も食事を摂るのだった。そうしてだ。
そのうえでだ。最後の決戦にだ。闇の者達も赴くのだった。
第百三十四話 完
2012・1・7
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