星河の覇皇

「そしてだ」
「目を覚ましてしまいます」
「どうしてもそうなってしまします」
「だからコーヒーや紅茶は出さない」
「ミルクですね」
「眠らずともうとうととなってだ」
　そうなってというのだ。
「動きが鈍り判断力も落ちる」
「注意力も落ちますね」
「どうしても」
「満腹になれば」
「そして食べるものもそうしたものなら」
「実にいい、無理に止められずとも」
　それが無理でもというのだ。
「やり方はある」
「左様ですね」
「要は調べられなければいいですね」
「それでいいですから」
「ここはそうしていきますね」
「是非な、ではカレーを食べてもらおう」
　艦長はこう言ってパーティーに参加してきたマウリア軍の者達にカレーやミルクをふんだんに出してもてなした、そのもてなしを受けて。
　マウリア軍の将兵達は実際に眠気を感じた、それで彼等は彼等の間でヒンズー語でこうしたことを話した。
「最近こうした連合のパーティーに出ると」
「よく眠くなるものを出されますね」
「連合も馬鹿ではないですね」
「我々に活動させないですね」
　技術を盗むスパイ行為をさせないというのだ。
「全く以て考えたものです」
「我々は連合の同盟国です」
「友好国です」
「では無体に出来ない」
「だからですね」
「こうした対応を取ってきますね」
　技術を盗ませない為にというのだ。
「秘かに」
「ですが確実に」
「我々に活動させない為に」
「眠気を催させますね」
「眠気に捉われると」
　どうなるかとだ、彼等は話した。
「どうしてもです」
「行動力が落ちます」
「集中力や判断力も」
「そして注意力も」
「我々でも」
　訓練された軍人達でもというのだ。
「人間、もっと言えば生物ですから」
「どうしてもそうなりますね」
「それが彼等の狙いですし」
「何ともしにくいですね」
「どうしても」
「流石に寝ませんが」
　パーティーの場にいてそして表向きは連合の軍人達と歓談し交流を深めている、今はタイ軍及びベトナム軍の将兵達とだ。
　だから寝ない、それは大丈夫だった。
「しかしですね」
「動きが落ちます」
「これが何気に大きいです」
「残念ながら」
「堪えていくしかないですが」
　それでもというのだ。
「眠いことはです」
「どうしても影響して」
「辛いですね」
「この状況は」
「ですが」
　それでもとだ、マウリア軍の者達は話した。ヒンズー語を小声かつ早口でしかもあえて独特の訛りのある方言を使っているので周りの連合の者達にはわかりにくい。