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星河の覇皇

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第八十三部第二章 撤退の果てにその四十

「無事にな、あとマウリア人には面白い対策があるな」
「対策?」
「マウリア人に対しての」
「それがあるのですか」
「それは一体」
「カレーだ」
 艦長は笑ってこの料理の名前を出した。
「これだ、彼等の言うカリーだな」
「はい、マウリアといえばカリーです」
「まさにそうですね」
「あの国の料理は全てカリーです」
「味付け自体全てそうで」
「マウリアイコールカリーですね」
「そのカレーを出してだ」
 艦長はあえて連合風にカレーと言った、自分達は連合市民であり食べるものはこちらだというのだ。
「それも腹一杯だ」
「そうしてですね」
「そしてで、ですか」
「満腹になってもらい」
「動けなくしますか」
「そうだ、人間満腹になると動けなくなるしだ」
 それにというのだ。
「眠くなるな」
「寝てもらいますか」
「そうして静かにしてもらう」
「そうしてもらいますか」
「それがスパイ活動に影響が出るとは思えないが」
 相手もプロだ、眠気程度乗り越えてしまうというのだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「そこはですね」
「おもてなしということで」
「出しておこう」
 そのカレーをというのだ。
「それも我が国のな」
「カレーを」
「タイのカレーを」
「それを出して」
「そして、ですね」
「食べてもらう、それも大量にな」
 艦長はここでは笑って言った。
「満腹になるまでな」
「食べてもらい」
「そうしてですね」
「休んでもらいますね」
「そうしてもらいまね」
「寝てもらってもいい」
 艦長は笑ったままこうも言った。
「むしろだ」
「その方がいいですね」
「我々にとっては」
「むしろ」
「下手に動かれるよりもな」
 そしてスパイ活動をさせるよりもというのだ、トイレ等に入って技術を盗まれるよりはというのだ。
「いいからな」
「だからですね」
「この度は」
「カレーを美味しく食べてもらう」
「それも山の様に」
「カレーのルーの中には睡眠を促進するものもある」
 そうしたスパイスも中に入っているのだ。
「だからだ」
「それで、ですね」
「ここは、ですね」
「カレーを食べてもらいますね」
「是非共」
「そうしてもらう、飲みものもだ」
 艦長はそちらの話もした。
「コーヒーや紅茶ではなくミルクだ」
「ミルクも飲むと眠くなります」
「だからですね」
「飲んでもらいますね」
「今は」
「コーヒーや紅茶にはカフェインがある」
 これが入っているというのだ。 
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