イベリス
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第八十五話 夕食もその九
「そうだったからね」
「死後有名になったのよね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「この人はね」
「あれだけの名作があるのに」
「それが余に出るのがよ」
「ご本人が亡くなってからなの」
「若くして結核で亡くなってね」
三十七歳の若さであった。
「それでなのよ」
「そこからなのね」
「その才能を知ってた人が紹介して」
「それで広まったのね」
「そうだったのよ」
「その紹介した人凄い功績ね」
同級生はその人をひょうかした。
「あんな人の作品を紹介したから」
「ええ、私もそう思うわ」
「そうよね、ただ咲っち随分宮沢賢治さん好きね」
「かなり好きよ」
はっきりと肯定して答えた。
「読んでいて楽しいしね」
「ファンタジーで」
「それで優しい作風で」
「ためにもなるから」
「だからね」
それ故にというのだ。
「かなり好きよ」
「やっぱりそうなのね」
「ええ、だからよく読んでるわ」
「そうなのね」
「宮沢賢治は世界に誇れるから」
そこまで凄い人物だというのだ。
「読んでもね」
「いいのね」
「そう、ただね」
「ただ?」
「銀河鉄道の夜は急に終わるから」
代表作の一つであるこの作品はというのだ。
「あれ?って思うのよ」
「そうなの」
「そうなの、主人公のお友達が死んで」
ジョバンニがだ、この作品は登場人物達の名前はイタリア風であるのだ。
「そこで終わるの」
「そうなの」
「そう、人を助けて」
「そこで死んで」
「そこで終わりなのよ」
「そうなのね」
「そこがね」
本当にというのだ。
「気になるの」
「そうなのね」
「そう、そこがね」
どうにもというのだ。
「気になるのよ」
「急に終わってるところが」
「どうもね」
「気になるの」
「そうなの、けれどそうしたことを入れても」
それでもとだ、咲は同級生に話した。
「凄い名作だから」
「読んで損はないのね」
「そうよ」
普通にというのだ。
「だから読んでいってね」
「それじゃあね」
「世界の色々な言葉に翻訳していって」
そうしてというのだ。
「世界の人に読んで欲しいわ」
「そうなのね」
「あんたの国でもね」
「日本って漫画が有名だけれど」
「小説もよ」
「有名になるべきなのね」
「そう思うわ」
こう言うのだった。
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