恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百三十三話 司馬尉、陣を語るのことその六
そしてだ。彼はまた言ったのである。
「宝貝は実にな」
「そう。そして私が使う陣は」
「どういった陣なのだ、それで」
「十絶陣よ」
司馬尉は言った。
「この陣を使うわ」
「十絶陣か」
「十の。何者をも寄せ付けない陣」
笑みを浮かべつつだ。司馬尉は述べていく。
そこには余裕がある。そうしての言葉だった。
「それを使て勝つわ」
「流石ですね」
司馬尉が十絶陣を使うと聞いてだ。于吉がだ。
その司馬尉を認めてだ。笑みを浮かべて言ったのだった。
「あの陣を使われるとは」
「そうだな。目の付け所が違う」
左慈も于吉に続いて言う。
「あれならばそう簡単にはだ」
「破られはしないわ」
「勝つな」
今度はこう言った左慈だった。
「この戦いは俺達がだ」
「勝つ為の宝貝よ」
それ故に使いだ。出すというのである。
「そういうことよ」
「そういうことだな。それではな」
「ええ、いいわね」
「いいと思います」
「それでな」
于吉と左慈に反論はなかった。彼等はそれでよしとした。
そしてミヅキもだ。妖しい笑みで頷いて言うのだった。
「面白そうな陣ね。それならね」
「いいというのね、貴女も」
「邪神アンブロジアもそれを望んでいるわ」
ミヅキの後ろにいるだ。その神もだというのだ。
「だからね。お願いするわ」
「わかったわ。それじゃあね」
「ではその十絶陣をですね」
「早速ですね」
「十の方角に敷くわ」
その十の陣をそのままだ。敷くと話す司馬尉だった。
そうしてだった。彼女はまた言うのだった。
「それは彼等ですら破れないわ」
「はい、あの陣は絶対にです」
「破れません」
妹達がだ。姉の言葉に応える。
「ですから最後には私達が勝ちます」
「例え何があろうとも」
「この九頭の九尾の狐の力ならば」
リョウシツの力、それならばだというのだ。
「あの十の陣を自由に使えるわ」
「見事です。ではです」
于吉は微笑みながら司馬尉の話を聞いてだ。
そしてだった。同志達に述べていくのだった。
「この戦いで全てを決めましょう」
「そのうえで二つの世界を我々のものにしよう」
ルガールはその無気味に光る単眼で述べた。
「そのうえでだな」
「新たな王朝を築くわ」
司馬尉の手に何かが宿った。それは杯だった。
紅い杯の中に赤いものがあった。それをだ。
口に含み飲みだ。それから言ったのだった。
「この美酒も好きなだけ飲めるわね」
「人の血じゃな」
「葡萄酒と混ぜたものよ」
それだと朧に話すのである。
「こうして飲むと最高の美酒になるのよ」
「味がいいだけではないのう」
「妖力も強めてくれるのよ」
人食いの九頭の九尾の狐の力を強める何よりのものだった。
「だからこそね」
「そうして飲むか」
「人の世を完全に滅ぼし魔の世にして」
そうしてだというのだ。
「この美酒をさらに飲んでいくわ」
「人が尽きても心配せぬことだ」
刹那がその司馬尉、血を混ぜた酒を飲む彼女に話す。
「常世の者の血も飲めるからな」
「それに肉もよね」
「死者は無限だ」
それこそどれだけいるかわからないというのだ。
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