恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百三十二話 一同、北に向かうのことその九
「ぜんまいとかそういうのもないし」
「精霊の力を借りてるらしいわ」
「精霊って」
「リムルルちゃん達から聞いた精霊の力をね」
まさにそれを借りてだというのだ。
「それで動いてるのよ」
「それでなの」
「そちらの世界の未来には原子力ってのがあるけれど」
「みたいね。それも」
「それはとても使えないから」
技術的な問題で、である。
「リムルルちゃん達の精霊の力を借りたのよ」
「そういうことだったの」
「それで自然に動いている様に見えるけれどね」
「実際は違うのね。けれど」
徐庶の話を聞きながらだ。リムルルはふと思ったのだ。
そしてその思ったことをそのまま徐庶に尋ねたのである。
「けれど精霊の力はどうして集めてるのかしら」
「あれです」
「あれって?」
「それぞれの車にお札が貼ってありますね」
見ればその通りだった。二人の車のあちこちにだ。札が貼られていた。そこにはそれぞれ文字が書かれている。
その文字を見てだ。リムルルはわかったのだった。
「あれってあかりちゃんの」
「御札は彼女の影響dす」
「そうよね。私達のことをそれぞれ入れてなの」
「そうです。そのうえで車を動かしているのです」
「凄いなあ。そんなこと考えつくの」
リムルルも素直に驚くことだった。そうしてだ。
そのリムルルにだ。徐庶はまた述べた。
「ただ。このことは車ではなくです」
「他のことにもなんだ」
「そうです。戦のことにもです」
「何か凄いことになりそうね。決戦って」
リムルルは徐庶の話を聞いて微笑む。そうしてだった。
前を見て進軍を見るのだった。百万の大軍が洛陽を発してだ。北に向かっていた。決戦の場に。
そしてだ。その中には怪物達もいてだ。彼女達も話すのだった。
「さて、いよいよね」
「遂にこの世界でも終わる時が来たわね」
「ええ、それがいよいよよ」
「近付いてきているわ」
こう話すのだった。
「運命の戦いがまた終わり」
「そしてまた新たな戦いが」
「何っ、戦いは終わりじゃないのか」
華陀は二人の話を聞いていぶかしむ顔で問うた。
「終わるというのに新たにとはどういうことだ?」
「だから。于吉やオロチ達との戦いは終わりよ」
「それはね」
「それでもか。つまりは」
「そう。人は生きている限り戦うものだから」
「だから新たな戦いがはじまるのよ」
そういうことだというのだ。
「この世界の娘達もあちらの世界の戦士達もね」
「皆そうなのよ」
「そういうことか。言われてみればそうだな」
二人の話を受けてだ。華陀もだ。
納得する顔になり頷きだ。こう言うのだった。
「人は必ず何かと戦うものだからな」
「平和を護ることもまた戦いよ」
「それを維持することもね」
「何かを護ること、それ自体が戦いだから」
「そうした意味で続くのよ」
「なら俺もか」
自分のことにも当てはめて言う華陀だった。
「俺もまたそうなんだな」
「そうよ。ダーリンは病魔との戦いよ」
「それを経ていくのよ」
「だからこそ。ダーリンもまた戦士なのよ」
「戦っているからこそね」
「よし、それならだ」
確かな顔になり微笑む華陀だった。そうしてだった。
前を見てだ。彼女達に言った。
「なら俺はこの果てしない病魔との戦いを進んでいこう」
「何処まであるかわからなくても」
「それでもなのね」
「そうだ、それでもだ」
前を見ている目には曇りはない。そのうえでの言葉だった。
「俺は戦う。人々を蝕む病魔を救う為に」
「じゃあダーリンもなのね」
「あたし達とも一緒に行ってくれるわね」
「勿論だ」
当然だという返答だった。
「俺も共に戦おう。あらゆる世界でな」
「これで次元の守護者がまた増えたわね」
「頼もしい仲間がね」
二人にとっては喜ばしいことだった。華陀は大きく羽ばたくことになった。そしてそのえうでだ。彼もまた決戦に向かうのだった。運命の決戦に。
第百三十二話 完
2011・12・18
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