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イベリス

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第八十五話 夕食もその一

                第八十五話  夕食も
 咲達は今は夕食の用意をしていた、学校の調理室の中でそれに励んでいるが。
 咲は包丁を使いまな板の上で人参や玉葱、ジャガイモといった野菜類を細かく刻んでいるがここで隣にいる陶芸部の女子の同級生ナイジェリアから来たアフリカ系の彼女に言われた。
「咲っち包丁捌き上手ね」
「そうかしら」
「うん、見ていたらね」
 トントンといった感じでリズミカルにそうしている彼女に話した。
「慣れてる感じよ」
「いつもお料理してるからかしら」
 咲は笑顔で応えた、三角巾とエプロンもよく似合っている。
「自分で作ることもあるし」
「そうなの」
「特に今作ってるカレーはね」
 この料理はというのだ。
「よくね」
「作ってるのね」
「そうなの」
 実際にというのだ。
「私はね」
「だからなのね、寮にいるとね」
 この同級生は寮暮らしだ、この学園の関東圏以外そして海外から来ている生徒は皆そこで暮らしているのだ。
「どうしてもね」
「お料理しないの」
「食堂のおばさん達が作ってくれるから」
 だからだというのだ。
「お昼のお弁当までね」
「それでなのね」
「少なくとも高校にいる間はよ」
 この間はというのだ。
「これといってね」
「お料理しなくて」
「包丁もね」
「扱いなれてないの」
「そうだけれどね」
 それでもというのだ。
「やっぱりお家で暮らしてる娘は違うわね」
「いや、私たまたまよ」
 こうだ、咲は同級生に笑って返した。
「お料理好きだしね」
「お母さんも手伝うの」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「作ってるから」
「それでなのね」
「だからね」
 それでというのだ。
「これといってよ」
「特別じゃないの」
「そうよ、それに今回の主力は料理部でしょ」
 この部活の面々だというのだ。
「やっぱりね」
「それはね」
 ナイジェリアからの同級生もそれはと答えた。
「やっぱりね」
「もう何もかもが違うわ」
 見れば料理部の面々は皆テキパキと動いている、そのうえで他の部活の面々に的確に指示も出している。
「本当にね」
「やっぱり専門にやってるとね」
「部活でもね」
「普段からだから」
「全くよ」
 それこそというのだ。
「動きがね」
「違うのね」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「だから私なんてね」
「それこそなの」
「まだまだよ」
「それ謙遜?」
「現実よ」
 それだというのだ。 
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