イベリス
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第八十四話 合宿その八
「まあ今でも皇室の方が漫画家になるとかね」
「ちょっと以上にないですね」
咲は副部長の今の話には笑って応えた。
「あの方々は」
「皇室の方々はね」
「そうしたことは無理ですね」
「まあ皇室は別で」
「流石に同じに出来ないですね」
「普通の。日本で言うと士農工商で」
この身分制度の中でというのだ。
「政治家になりたいとか思っても」
「なれなかったですね」
「公務員になるにも」
「昔で言うとお役人ですね」
「なれなかったしね」
「武士だけですね」
「また日本は比較的その辺り緩やかで」
当時の他の国よりもというのだ。
「殿様が取り立てたり養子縁組でね」
「お侍になれましたね」
「名字帯刀が許されたりね」
「そういうのでした」
「農工商はほぼなかった感じだしね」
「基本武士とそれ以外ですね」
「欧州の貴族制度と比べたら」
それこそというのだ。
「かなりね」
「緩やかでしたね」
「ましてや今の北朝鮮みたいな」
「とんでもない階級社会じゃないですね」
「そうよ、江戸時代の日本の方がよ」
「北朝鮮より緩やかでしたね」
「あそこはおかしいから」
副部長は言い切った、共産主義国家で出生による階級制度を厳密に定めしかも国家元首が世襲の国なぞ歴史上他には存在しない。
「もうね」
「誰がどう見てもそうですよね」
「そのおかしな国家よりもね」
「江戸時代は楽ですね」
「そうだけれど今よりはね」
「職業選択の自由とかなかったですね」
「そうよ、けれど今はね」
現代はというのだ。
「勉強してもね」
「自分が望む進路に至れますね」
「そうよ、だからね」
「その進路に進みたいならですね」
「勉強して」
そうしてというのだ。
「大学に進むのもね」
「いいんですね」
「だから私も部長さんも他の三年生の面々もね」
「受験勉強をされて」
「それで大学に進むのよ」
「そうなんですね」
「まあ高卒でもね」
この学歴でもとだ、副部長はこうも言った。
「別にいいけれどね」
「それが進路ならですね」
「別に中卒でも生きていけるしね」
「そうなんですね」
「中学出てすぐに宮大工さんになって」
「神社とかの大工さんですね」
「生きている人いるしね」
こう咲に話した。
「宮大工になったら」
「もうかなりですね」
「ええ、凄いものがあるわ」
「特別な技能で」
「もう学歴はね」
それはと言うのだった。
「関係ないわ」
「そこプロ野球選手と同じですね」
「そうよ、活躍したらね」
そうすればというのだ。
「スポーツ選手はよ」
「それでいいですね」
「野村さん高卒だったでしょ」
野村克也、南海の四番キャッチャーであり後に監督になりそこからヤクルトや阪神、楽天で監督を務めた彼はというのだ。
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