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超地球救済戦記!断罪王Ω〈オメガ〉~戦争もやめねぇ!環境破壊もやめねぇ!バカで愚かな人類は身長170センチ以下の無職童貞ニートの俺が全員滅亡させる‼~

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第二百十六話 外山リキ その4

第二百十六話 外山リキ その4

断罪王現象。それは、ある日突然、普通の社会人が社会不適合者になってしまう現象である。
この現象により社会不適合者になってしまった人々を国は『断罪者』と名付けた。

外山リキは思い人の霧島イズミに究極の選択を迫られる。
イズミの義父をリキが殺害すれば、リキはイズミと結婚できる。
イズミが義父を殺せば、リキはイズミと結婚できない、そして、イズミは断罪者(社会不適合者)であるため、この国の法律では死刑にはならない。
リキは答えを保留したまま、イズミと共に田舎に帰った。
「ただいま」
自宅に帰ってきたリキば帰り道のスーパーで買ってきた、野菜と肉を使って夕飯の支度を始める。
「なによ、意外と早く帰ってきたわね」
「うん、もしかして、出前のほうがよかった?」
「ううん、私はやっぱりお兄ちゃんの手料理のほうが好き」
「そっか、お前、今日はちゃんと風呂入ったんだな、えらいぞ」
「それで、例の女とはどうだった?」
「どうもなにも...マキはさぁ、俺が人殺しになって、結婚してさ、一生警察の目を気にしながら生きていくのと、今まで通りの生活を続けるの、どっちがいい?」
「そりゃ、やっぱ、今まで通りの生活を続けるのが最優先でしょ」
「俺さ、自分がどうしてイズミに惹かれたのか、今日分かった」
「イズミっていうんだ」
「うん。俺、きっとこのまま、毎日毎日、給料の安い作業所で働き続けてさ、いつ自立するのか、働くのかわからない妹の面倒見続けて、先の見えない暮らしを続けるのが嫌だったんだと思う...。だからイズミみたいなさ、美人なのに幸薄そうな、どこか影があるような女の子は、俺にとってかなり非現実的で刺激的な存在だったんだよな...」
「つまり、イズミはお兄ちゃんが現実逃避をするのに最適な存在だったってこと?」
「ああ、このまま、お前も、なにもかも捨てて、イズミと一緒にいれば、俺はどこにでも行けるような気がしてた...」
「でも、それはお兄ちゃんがイズミの義父を殺せなきゃ、実現できないんでしょ?」
「うん。でも、仮にイズミと結婚できてもさ、俺はきっとどこにも行けない...一生、警察の目を気にして、毎日ビクビクオドオド他人の目を気にしながら、イズミと傷を舐め合うだけの自堕落で怠惰な生活しか遅れない気がする...」
「でも、人殺しになってイズミと一緒に堕ちていくのも悪くないと思ってる...そうでしょ?」
「うん、でも俺、やっぱりイズミより、今の生活を優先しようと思ってる」
「本当にそれで、いいの?私みたいな引きこもりの妹のために、自分の人生犠牲にできるの?」
「ああ、ここでお前を見捨てて、イズミを選んだら、俺、父さんを殺してまでお前を守った意味がないだろ...」
そう、リキは妹のマキを虐待していた父親を殺したのだ。
マキは父親に虐待されていた経験と、目の前でリキが父親を殺す光景を見て、心を壊し、家に引きこもるようになってしまった。
「お母さんが生きてたら...お兄ちゃんはもっと自由に生きることができたのかな...」
「そうだな、母さんが生きてたら、父さんだって心を病んでマキや俺に虐待なんてしなかったかもしれない...。とりあえず、俺、明日もう一度、イズミに会って、別れを告げてくる」
「そっか...」
「俺がイズミと別れるって聞いて、お前、安心しただろ...?」
「うん、ごめん」
次の日、作業所での勤務を終えたリキはいつもの橋に向かう。
橋には、イズミが立っていた。
イズミは今日も一人、橋の下を流れる汚い川を見下ろしていた。
「よっ!」
「それで、答えは決まったの?」
「うん、俺はもう、人は殺さない、だから、もし再婚相手を殺すなら、イズミだけでやってくれ」
「じゃあ、私、今日、自殺するわよ」
「自殺なんて損だよ、だってイズミは断罪者(社会不適合者)なんだから、人を殺しても死刑にならないんだから」
「私、正直、怖いの、人を殺すのが」
「でも、殺したいほど、憎いんだろ?」
「うん、私は義父にたくさん汚されたの、人の欲望が生んだ、この川の下を流れる汚い川みたいにね。でもやっぱり、人を殺すのは怖い、私はおかしいかしら?」
「おかしくないよ、それが普通だよ」
「じゃあ、リキ君は普通じゃないよね、だってリキ君は実の父親を殺したんでしょ?」
「俺は虐待されていた妹を守るために、父さんを殺したんだ、俺が殺さなきゃ、妹だけじゃない、俺だって殺されていたかもしれない...」
「人を上手に殺せる方法、教えてよ」
「知らないよ、そんなの!俺はもう、君に話しかけない、君と俺は今日でお別れだ...」
「捨てるんだ、私のこと、私がこのまま、義父に汚されても、リキ君は私のことなんとも思わないの?」
「あああああああああああああああああああッ!お前、めんどくせぇんだよ!本当に!俺のこと好きじゃないんだろ?俺のこと無理なんだろ?顔見てるだけでゲロ吐きそうなんだろ?俺が再婚相手を殺せなきゃ、結婚もしねぇんだろ!だったらいいじゃねぇか別によォ!さんざん、人を惑わしといて、いざ、俺が決断したとなったら、急に未練がましいこと言いやがってよ!こっちはもう、お前に振り回されるのは嫌なんだよ!そんなに再婚相手殺してぇならてめぇ一人で殺せよ!このメンヘラ女ァ‼」
イズミが子どもみたいに大声で泣き始めた。
俺はイズミを橋の上に残して、家に向かって全速力で走る。
俺はなぜか、走りながら泣いていた。

次回予告  外山リキ その5 
 

 
後書き
次回もお楽しみに 
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