八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第六百八十四話 連合一の大食の国その五
「さっき話した奴な」
「今日行くって言ってお邪魔しますも言わないで上がり込んで」
「大飯食うな」
「とんでもなく図々しい人だね」
「五十のおっさんでもな」
「その人がどうしたのかな」
「天理教の教会に行ってな」
この時代では連合全体に広まっているこの宗教のというのだ、日本から生まれた宗教として知られている。
「お布施しないでな」
「宗教施設だと普通にするよね」
「常識だな」
「お参りとかしたらね」
「天理教は祭事の後ご飯が出るんだが」
「ああ、そのご飯をだね」
トムも察して言った。
「大飯喰らいだね」
「そうだったんだ」
「そのことも図々しいね」
「それでいて天理教の人にも教えにも感謝しないでな」
「ご馳走になっても」
「色々悪態ついていた」
そうだったというのだ。
「そんなろくでなしだった」
「まさにザ=ろくでなしだね」
トムも話を聞いて思った。
「本当に」
「しかも働いていなかった」
「余計に酷いね」
「奥さんが働いて食べさせてもらっていた」
「身体健康だったのかな」
「そうだったがな」
それでもというのだ。
「そのうえで偉そうに言って家事もしないでな」
「聞けば聞く程酷いね」
「流石に偉そうに言うばかりで何も出来ないからな」
「ああ、口だけだったんだ」
「しかも資格も学歴も財産もな」
「何もなかったんだ」
「それで自分はこの世で一番偉いってな」
その様にというのだ。
「思っていて奥さんの料理にも文句つけるばかりだった」
「ああ、料理も出来ないんだ」
「そして遂に見捨てられたが」
「そうならない方がおかしいね」
「爪切りまで持って行っただ」
離婚され家を出られた時にというのだ。
「これまで養ってもらってな」
「お料理も作ってもらって」
「それだ」
「爪切りまでね」
トムはここまで聞いて完全に呆れ返って言った。
「凄いね」
「酷いな」
「感謝の気持ちがなくて器が小さくて」
「爪切りまで世話になっていてもな」
「それを感謝しないで文句を言う器の小ささ」
「それを人に言う無神経さもあるな」
「そうだね」
洪童にその通りだと答えた。
「本当にね」
「それを人に言う恥知らずと無神経さもな」
「酷いね」
「それで身体を壊していた自分の叔父さんに生活を注意されて」
「酷過ぎるから」
「殴るぞ、と言い返したんだ」
「韓国でそれまずくない?」
トムはここまで聞いて思った。
「目上の人を大事にする国だね」
「二十世紀よりずっとそうでないがな」
「けれど今でもだね」
「ああ、しかも親戚だしな」
「普通に敬意を払うよね」
「ずっと年上の人だったしな」
「それで身体を壊していた人に」
トムは自分がここまで呆れるのかと内心思いつつ洪童に応えた、身体を壊す即ち身体障害者の人ということだからだ。
ページ上へ戻る