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ハッピークローバー

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第六十二話 青く奇麗な海を観てその十二

「文化よ」
「じゃあ文化的なお話でもあるの」
「そうね、ただ汲み取りってね」
 イギリスから来た娘は昔の日本のトイレの話をした。
「清潔よ」
「ああ、普通に捨てるよりも」
「欧州じゃ道の端に捨ててたから」
「穴からそこに落ちて」
「壺だと窓の外からね」
「それで道の端に捨てていて」
「もう道の端はね」
 欧州の街のだ、イギリスに限らず。
「物凄く不潔で街を歩いていてもよ」
「臭くて」
「マントだってね」
 これもというのだ。
「防寒やファッション以外に」
「街の道歩いていて捨てられたものにかからない」
「その守りでもあったのよ」
「飢えから地面に捨てられて跳ね返りもあるし」
「そうしたものが服にかからない為にね」
「あったのね」
「それによ」
 イギリスから来た娘はさらに話した。
「ペストもね」
「それね」
 一華はペストと聞いて嫌そうな顔になって応えた。
「欧州じゃあるわね」
「だから言うのよ」
「汲み取りは清潔なのね」
「おトイレだけで終わってるから」
 だからだというのだ。
「いいのよ」
「そういうことね」
「ええ、ただそうした文化的背景があるから」
「おトイレの」
「一華はユニット苦手なのね」
「ええ、どうしてもね」
 一華も応えて話した。
「おトイレはね」
「おトイレで完全に一つのお部屋ね」
「そうであって欲しいわ」
「そうなのね」
「だからこのホテルでもね」
「おトイレはそうなってるから」
「嬉しいわ、それで朝大浴場にまで行くことすらね」
 そこまで二日酔いで身体が辛ければというのだ。
「お部屋のお風呂にね」
「入れはいいのね」
「熱いお風呂に入って」
 そうしてというのだ。
「冷たいシャワーを浴びたらね」
「お酒も抜けるわね」
「もう私だってよ」
「明日の朝は二日酔いね」
「それ上等で飲んでるから」
 言いつつさらに飲む。
「あんたもよね」
「そうするわ、どんどん飲みましょう」
「美味しいしね」
「ええ、今夜はね」
「明日も明後日もね」
「合宿の間は毎晩こうね」
「それこそうわばみみたいによ」
 こうも言うのだった。
「飲めばいいのよ」
「顧問の先生もコーチもそうしてるしね」 
 誰もが飲んでいる、それで先生達もなのだ。
「それじゃあね」
「どんどん飲んで」
「食べることもしてね」
「明日の朝はお風呂よ、大浴場だと」
 一華はその場の話もした。
「サウナがね」
「あそこね」
「あそこに入って」
「汗かくのね」
「それも思い切りね」
 楽しそうな言葉で話した。
「そうしてよ」
「お酒抜くのね」
「それから水風呂に入って」
「身体冷やして」
「またサウナに入る」
「それをやってるとね」
「お酒なんてね」
 二日酔いのそれはというのだ。
「抜けるから」
「だからよね」
「そう、明日はね」
「起きたらすぐに」
「お風呂入ればいいわ」
「それじゃあもうね」
「それ上等でね」 
 そのうえでというのだ。
「飲んでいきましょう」
「それじゃあね」
 イギリスから来た彼女も応えた、そうして皆でひたすら飲んだ。一華達は二日酔いになることはもう覚悟して飲んでいった。


第六十二話   完


                 2022・11・15 
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