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ハッピークローバー

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第六十二話 青く奇麗な海を観てその四

 ホテルに戻って風呂に入ってだ。
 浴衣になってだ、そのうえで。
 夕食の場に出たがそこはホテルの大宴会場であり。
 それぞれの膳にご飯と瀬戸内の海の幸がありだった。
 酒樽が多くあった、一華はその樽達を見て顧問の先生に尋ねた。
「あれをですね」
「そうよ、幾らでもあるからね」
 初老のやや小柄な女性の先生が答えた。
「飲んでね」
「そうしていいんですね」
「一升瓶の方もあるから」
 そちらの酒もというのだ。
「広島の地酒がね」
「広島ですか」
「ここのね、ビールもあるわよ」
 こちらの酒もというのだ。
「焼酎やワインもね」
「好きなの飲んでいいんですか」
「そうよ、ただね」
「はい、二日酔いになったらですね」
「這ってでもよ」
 それでというのだ。
「朝にお風呂に入ってね」
「そこで汗かいてですね」
「すっきりしてね」
 そうしてというのだ。
「お酒抜いてよ」
「部活やるんですね」
「さもないとウェア着てね」
「ランニングですね」
「それから普通の部活のメニューやってもらうから」
「それが嫌ならですか」
「二日酔いになったら」
 その時はというのだ。
「いいわね」
「まずはですね」
「お風呂に入ることよ」
「わかりました」
「二日酔いにはお風呂だから」
 これが一番効くからだというのだ。
「入りなさいね」
「そうします、それで飲むことは」
「無礼講よ、ただ女の子はね」
 一華もまたそうであることから話した。
「浴衣だとよ」
「お母さん卒業生なんで言われました」
 一華はすぐに答えた。
「この時は浴衣なんで」
「そうよ、ちょっとしたことでね」
「はだけてですね」
「あちこち見えるわよ」
「そうですよね」
「浴衣で見えると」
 どうかとだ、先生は話した。この先生も浴衣姿である。旅館のそれであるので随分と生地は薄くその分動きやすくはある。
「危ないのよ」
「あちこちですね」
「簡単に見えるから」
 先生の言葉は強いものだった。
「それでよ」
「そこは注意ですね」
「そうよ、胸元も脚もね」
「何でも見えるんですね」
「ただでさえ体型が出るのに」
「旅館の浴衣は」
「そこからさらによ」
 先生は自分の言葉をさらに強くさせて話した。
「下着だってよ」
「見えますね」
「ちらりにしても完全にしてもね」
「見えるから」
「危ないから、特に酔うと」
「これから飲んで」
「その時はね」
 まさにというのだ。 
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