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ハッピークローバー

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第六十一話 合宿がはじまってその十三

「人間幸せになるなら」
「そうした人にならないことね」
「そうしたら周りもね」
「迷惑しないわね」
「そう、こうした人を反面教師にして」
「自分はそうはならない」
「そう心掛けて」
 そしてというのだ。
「自分は結局偉くも何でもない」
「そのことをわからないとね」
「だってどれだけ凄い人でも」 
 それでもというのだ。
「お釈迦様やキリストさん程じゃないでしょ」
「絶対にね」
 一華もそれはと答えた。
「それはないわ」
「でしょ?ましてやね」
「何もしたことない人が」
「偉い筈ないわよ」
「長男でもね」
「長男の何処が偉いのってね」
 かな恵はこうも言った。
「うちの明男だって長男だけれど」
「全然偉そうじゃないわね」
「うちの叔父さんだってね」
 親戚の話もした。
「母方のね、兄弟で一番上でも」
「偉そうじゃないの」
「長男だからってね」
 それでもというのだ。
「別に何ってね」
「そんな程度よね」
「長男でそんなに偉い筈ないわよ」
「正直何処でもいるしね」
「それで何か凄いことをしても」
 それでもというのだ。
「結局ね」
「お釈迦様やキリストさん程偉くないわね」
「絶対にね」
「ましてや神様仏様程ね」
「人間なんてそうよ」
 所詮という言葉だった。
「だからね」
「そのことを頭に入れて」
「生きていくことでしょ」
「そうよね、人間なんてね」
 一華はそれこそという顔になって述べた。
「ちっぽけよね」
「神様仏様から見たらね」
「そんなものよね」
「どれだけ凄い人でもね」
 富美子はさらに言った。
「結局はよ」
「お釈迦様やキリストさんには遠く及ばなくて」
「神様仏様から見たら」
「ちっぽけよ」
 そうした存在でしかないというのだ。
「それこそ塵芥みたいな」
「そんな存在ね」
「オリンピックの金メダル選手もノーベル賞貰った人も」
「結局は神様仏様から見たら」
「小さいのよ」 
 ちっぽけと言うしかない様なというのだ。
「何でもないのよ、ましてや五十過ぎて何もしたことのない」
「中二病の人なんてね」
「何処が偉いのか」
「それもこの世で一番」
「どんな教育受けて生き方だったか知らないけれど」
「どうせ碌なものじゃないわね」
「けれどね」
 それでもとだ、富美子はさらに話した。
「どう考えてもよ」
「偉い筈がないわね」
「そもそも金メダル選手やノーベル賞の人と比べてもね」
「雲泥の差があるし」
「ましてやお釈迦様キリストさんとなんか」 
 それこそというのだ。
「全く以てよ」
「比べものにならなくて」
「神様仏様から見たら」
「本当に塵芥で」
「偉くなんかね」
「ないわね」
「その人を反面教師にして」
 ああはなるまい、そう思う自分の鑑にしてというのだ。
「そしてよ」
「自分はそうならないことね」
「自分は偉くとも何ともない」
「ちっぽけな存在ね」
「人間自体がね」
「そう思って生きて」
「何でもやっていくことが」 
 それがというのだ。
「本当にね」
「大事なのね」
「そういうことでしょうね」
 富美子はもうババ抜きで最下位になったことは忘れていた、そして以後は五人でお喋りとお菓子に興じてだった。
 江田島まで向かった、旅は続いていた。


第六十一話   完


                    2022・11・8 
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