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ハッピークローバー

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第六十話 合宿を前にしてその七

「一番ね」
「恰好いいのね」
「そう思うわ」
 実際にというのだ。
「本当にね」
「やっぱりそうよね」
「消防署の人達だって恰好いいでしょ」
「凄くね」
「ヤクザ屋さんとか不良なんてね」 
 それこそというのだ。
「こうした人達と比べたらよ」
「あまり恰好よくないわね」
「ええ、それでお母さんが一番恰好悪いと思うのは」
「恰好いいんじゃなくて」
「ヘルメットに覆面に棒持ったよ」
「学生運動のあれ?」
「昭和のね」
 一九七〇年代前半までの学生運動を行っていた愚か者共である、赤軍派や革マル派や中核派等と称して革命『ごっこ』に明け暮れていた。
「ああいうのがよ」
「一番恰好悪いってなのね」
「お母さん思うわ」
「確かに恰好悪いわね」
 一華もそれはと答えた。
「絶対に着たくないわ」
「そうでしょ」
「ダサいなんてものじゃないわ」
 学生運動の恰好はというのだ。
「言われてみたら」
「そうでしょ」
「あの恰好で暴れてのよね」
「昔はね」
「若気の至りどころじゃないわね」 
 一華は眉を顰めさせて述べた。
「それこそ」
「そうよね」
「ええ、あの人達も犯罪者よね」
「暴れてるからね」 
 だからだとだ、母も答えた。
「武器持ってね」
「傷害罪とか暴行罪とか」
「それになるわ」 
 あさま山荘事件では多くの殺人も行っている、革命ごっこは総括というそれにまで至ったのである。
「まさにね」
「その悪事もね」
「したくないでしょ」
「あの、何か政治のこと言いたいなら」 
 一華はそれならと母に話した。
「普通に選挙行けばいいでしょ」
「革命とか言って暴れるよりもね」
「ずっとね」
 それこそというのだ。
「いいわよ」
「そうよね」
「けれどああした人達はね」
 学生運動に興じていた連中はというのだ。
「そうしたことにもよ」
「気付かなかったの」
「選挙じゃね」
 それではというのだ。
「自分達の思い通りにならないってね」
「そう思ってなのね」
「暴力に訴えて」
「革命だって言ってたの」
「日本を共産主義国家にしようとか言って」
「選挙じゃなくて」
「暴力でね」
 これで以てというのだ。
「自分達の思う政府にしたかったのよ」
「民主主義じゃないわね」
 一華はここまで聞いて即座に言った。 
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