ハッピークローバー
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第六十話 合宿を前にしてその三
「気をつけなさいね」
「確かに日本酒って効くわね」
一華もそれはと応えた。
「飲んだら」
「そうでしょ」
「酔いが回るのも早いし」
飲むと、というのだ。
「だからなのね」
「気を付けることよ」
「そうするわね」
「もう飲めない子以外はね」
下戸の者以外はというのだ。
「皆飲むしね」
「そうなるから」
「あらかじめ注意しておくのね」
「浴衣の下にシャツとか半ズボン着て」
「店長さんもそう言っておられたし」
「そうするのよ、半ズボンも露出高いけれど」
それでもというのだ。
「下着よりいいでしょ」
「もう下着はね」
ブラやショーツはというのだ。
「見せたら駄目よね」
「ええ、男の子は見てない様でね」
「見てるのね」
「そうよ、酔ってなくても」
そうした状態でもというのだ。
「ちょっと油断したらよ」
「見られるのね」
「もうこれはずっとよ」
「昔も今も」
「そうよ、ちょっと油断したらね」
そうしたらというのだ。
「もうね」
「見られてるのね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「そうしたものなのよ」
「ううん、そう思うと怖いわね」
「例えばよ」
母はこう前置きして娘に話した。
「風が吹いてよ」
「スカートがはだけて」
「その中身が見えることもね」
「あるのね」
「すぐにスカート抑えてもよ」
「もう見られてるのね」
「そんなことがね」
それこそというのだ。
「普通によ」
「あるの」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「あんたもよ」
「気を付けることね」
「普段からね」
「男の子の目はいつもあるのね」
「いないと思っても」
その時その場でというのだ。
「実はよ」
「あるのね」
「壁に耳あり障子に目ありっていうのはね」
このことはというのだ。
「こうしたことでもよ」
「あるのね」
「そうよ、誰かがいて」
「見られる可能性があるのね」
「それも世の中なのよ」
「誰もいないと思ってもいるのね」
「そうしたものよ、だから悪いこともね」
娘に神妙な顔で話した。
「出来ないものよ」
「見られてるのね」
「隠れてやって」
そうしてというのだ。
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