ハッピークローバー
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第五十九話 夏の盛りでその十一
「しみじみと思うわ」
「そうよね、歌とダンスも大変なのに」
「そうした姿にもなるって」
「それも笑顔でね」
「体力も使うでしょうし」
「変なファンのストーカーもつくことあるし」
「そうよ、アイドルは戦士よ」
店長は五人に言い切って答えた。
「もうね」
「歌にダンスに握手会に」
「そしてグラビア」
「どんな姿になってもいつも笑顔」
「にこにことしていて」
「サービスも忘れたら駄目ですね」
「ちょっとやそっとじゃなれないわよ」
そうした仕事だというのだ。
「だから馬鹿には出来ないわよ」
「昔アイドルになりたいとか思いました」
富美子は自分の頃の夢の話をした。
「そうでした」
「それは多くの娘が思うわね」
「はい、ですが」
「なるにはね」
店長は富美子個人にも話した。
「戦士によ」
「ならないと駄目ですね」
「アイドル道は戦士の道だってね」
店長はこうも言った。
「言っていいわ」
「今は自然にです」
そうした感じでというのだ。
「思わなくなりましたが」
「それでもなのね」
「はい」
まさにというのだ。
「子供の頃はです」
「アイドルになりたいって」
「思ってました、ですがいざなったら」
「大変よ」
「そうですよね」
「あんなに大変なお仕事もね」
それはというのだ。
「ないわよ」
「アイドル程ですね」
「歌にダンスにね」
最初にそれがあってというのだ。
「トークに握手会に」
「まずそうしたことですね」
「売れるととね」
そうなればというのだ。
「ドラマにバラエティに」
「そういうのもしないといけないですね」
「そしてね」
「グラビアですね」
「水着や下着になるのよ」
今話している様にというのだ。
「歌やダンスは時として酷評されて」
「トークや握手会での対応もですね」
「塩対応って言われたら」
「叩かれますね」
「バラエティで笑い取れなくてもね」
この場合もというのだ。
「ドラマでも演技力がね」
「言われますね」
「大根と叩かれたりね」
「それでグラビアで使われて」
「しかも枕がどうとか常に言われるのよ」
こうしたことを言う人間も世の中にはいるものだ、そうしたことは実際にあるかも知れないことであるがだ。
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