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イベリス

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第八十三話 合宿前日その二

「親と一緒に」
「自衛隊の基地を観に行かれたのでしょうか」
「丁度海上自衛隊の基地で催しがありまして」
 横須賀のそこでというのだ。
「お父さんお母さんが連れて行ってくれました」
「それはいいことですね」 
 速水は右目を微笑ませてこう答えた、左目は相変わらず黒髪で隠れていて見えない。そうしてミステリアスな雰囲気を余計に深く強くさせている。
「自衛隊を知ることもいいことです」
「そうですよね」
「いい組織ですね」
「悪い印象は受けなかったです」 
 咲にしてもだ。
「全く」
「私もです、私は主に海上自衛隊に関連するです」
「お仕事をですか」
「自衛隊に関わるものでは受けてきましたが」
 それでというのだ。
「自衛官の方々からも自衛隊という組織からもです」
「悪い印象は受けなかったのですね」
「はい」
 そうだったというのだ。
「全く、軍事組織を知ることもいいことですし」
「軍隊をですか」
「そうです、どういった組織であるか」
 このことをというのだ。
「それもまた世の中の勉強ですし」
「いいことなんですね」
「これからも機会があればです」
「自衛隊を見るといいんですね」
「イベント等にも参加されて」
 その様にしてというのだ。
「親しまれて理解もです」
「するといいんですね」
「はい、まことに」
 こう咲に話した。
「そのことは申し上げておきます」
「わかりました」
「それで無闇に謝罪されることはです」 
 速水はまたこの話をしてきた。
「決してです」
「その必要はないんですね」
「左様です」
 こう述べるのだった。
「そのことも覚えておいて下さい」
「わかりました」
「ただ必要な時にはです」
「謝ることですね」
「そうした時もあります、そして何よりも」
「何よりも?」
「人に時にはその人がしていないことでも謝る様に言ってです」 
 そうしてというのだ。
「自分は謝らない人もいますね」
「マスコミや学校の先生に多いですよね」
「我が国には。こうした人達の言葉はです」
「聞かないことですね」
「はい、全くです」
 そうした輩の言うことはというのだ。
「人に言うのならです」
「自分もですね」
「謝ることがです」 
 それがというのだ。
「人の筋です、中には自分達が捏造してです」
「その捏造を人に擦り付けて」
「それで謝れと言って」
 その様にしてというのだ。
「自分の悪事にはです」
「一切謝らない」
「そんな人の言うことはです」
「信じたら駄目ですね」
「北朝鮮への帰国事業がありましたが」
 速水はここで実際にあった忌まわしい話のことを紹介した。 
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