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兎の癒し

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第二章

 サンフランシスコの空港に入った時に茶色の大きな兎がいた、彼はその兎を見て思わず目を丸くさせた。
「キイッ」
「大きな子だな」
「この子はフレミッショジャイアントでして」 
 若い男性の空港職員が話してきた。
「名前をアレックスザグレートといいます」
「そうした子なんだ」
「家兎では一番大きな種類で」
 まずはその種類から話した。
「十五ヶ月なんです」
「まだ若いね」
「兎は二十年生きますからね」
「うちは八匹いるけれどね」
「そうなのですか」
「ども子も長生きして欲しいよ、それで」
「はい、この子はです」
「実は私達が一緒に暮らしています」
 アジア系の中年の男女が出て来た、男は穏やかな顔で女は面長で二人共黒髪で黒い目で中背獣肉である。
「ジョッシュ=ロウです」
「ケイ=カトウです。同棲してサンフランシスコで働いています」
「そうなのですか」
「はい、そして」
 カトウが言ってきうた。
「この子は月二回ここに来て」
「この空港に」
「それで十四匹の犬達と」
「ブヒッ」 
 白い豚が来て鳴いてきた、カトウは豚も見て話した。
「このリルー、男の子とです」
「一緒にですか」
「空港腕アニマルセラピーをしています」
「そうですか」
「この子は雄で農家で飼育放棄されていたのを保護されて」
 カトウはアレックスのことも話した。
「保護されまして」
「それで、ですか」
「今はです」
「お二人がですね」
「一緒に暮らしています」
「いい子です、一緒にいて癒されますし」
「そうですね、兎は」
 スミスも自分のことから話した。
「そうした生きものですね」
「そうですよね」
「うちにもいますので」
 その八匹のことをここでも話した。
「実感出来ます」
「そうですか」
「はい、空港でも兎を見られてよかったです」 
 スミスはにこりとして話した。
「仕事で来ましたが」
「それでもですか」
「嬉しいサプライズです、では帰りですが」
 それでもと言うのだった。
「心地好くです」
「帰られますか」
「はい、本当に」
 笑顔で話してだった。
 スミスはカナダ行きの飛行機に乗った、そして自宅で兎達に囲まれつつ家族にアレックスのことを話した。そして今度は家族と笑顔になった。


兎の癒し   完


                 2023・1・24 
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