ハッピークローバー
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第五十八話 祭りが終わってその九
「どうもね」
「そうなのね」
「あっ、結核になっても助かる方法あったみたいよ」
留奈はこう言ってきた。
「ひいお祖父ちゃんが言ってたけれど」
「助かったの?」
「肺の感染した部分を手術で潰したら」
そうしたらというのだ。
「それでね」
「助かったの」
「それで助かった人いるみたいよ」
「そうだったのね」
「かなりの荒療治だけれどね」
肺を一部とはいえ潰すだけあってだ。
「けれどね」
「助かる方法はあったのね」
「そうみたいよ」
「梅毒だってあったしね」
富美子が言ってきた。
「わざと熱病になったり水銀使ったり」
「そっちで死ぬでしょ」
どちらの治療方法にもだ、一華は眉を顰めさせた。
「水銀なんて猛毒じゃない」
「けれど昔はね」
「水銀を使ってなの」
「治療して」
そうしてというのだ。
「助かった人いるみたいよ」
「そうなの」
「それで熱病にもなって」
梅毒菌は高熱に弱く若し熱病に感染すればその熱で菌が死んでしまうのだ、これは熱病に感染した梅毒患者が実際に回復したのを見てわかったことかも知れない。
「梅毒から回復する」
「そうしていたの」
「ただどっちもね」
「下手したら死んでたわね」
「シューベルトだってね」
この作曲家もというのだ。
「それで死んだみたいよ」
「梅毒になって」
「水銀治療を受けて」
そうしてというのだ。
「その中毒でね」
「やっぱり危ないのね」
「そうね」
留奈も否定しなかった。
「そういうの見たら」
「そうよね」
「ただね」
「ただ?」
「そうした治療をしないと」
「水銀とか熱病とか」
「もう確実にね」
それこそというのだ。
「死んでたわよ」
「昔は」
「梅毒はね」
「それ怖いわね」
「それもね」
留奈は一華にさらに話した。
「お鼻が落ちたり身体腐って」
「酷い死に方なのよね」
「脊髄もやられて」
そうなってというのだ。
「歩けなくもなって」
「ボロボロになるのね」
「頭がおかしくなることもね」
こうなる場合もというのだ。
「あったしね」
「怖いわね、本当に」
「音楽の授業で我が祖国習ったでしょ」
「ああ、モルダウね」
一華はすぐに答えた。
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