ハッピークローバー
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第五十七話 少しでも思うことその二
「その人ね」
「最低限のものすら持ってないね」
「人間としてね」
「これで自分はこの世で一番偉いだから」
「ある意味凄いわね」
「最低限のものすら持ってないのに」
人としてというのだ。
「そこまで尊大なんだからね」
「一体何なのよ、よね」
「全くだね、ちなみに一度ホームレスになって」
住む場所を失ってというのだ。
「教会の関連施設で厄介になっていて」
「それでなの」
「うん、相変わらず文句を偉そうに言うばかりで」
そうした状況でというのだ。
「周りから嫌われてそろそろいられなくなる状況で」
「何かしたの」
「自分を甘やかしていた母親が亡くなって」
そうしてというのだ。
「看病はずっと弟さんの奥さんに丸投げだったのに」
「それでもなの」
「自分は喪主やるって思い込んでいたんだ」
「それ無理でしょ」
一華は即座に返した。
「どう考えても」
「そうだよね」
「だってお家なくて厄介になっていて」
「そこもいられなくなっていてね」
「看病もしなかったのに」
「喪主やるつもりだったの」
「それでその場でふんぞり返っていたらしいよ」
そうだったというのだ。
「長男だからってね」
「長男でもね」
例えそうでもとだ、一華は冷めきった目で返した。
「そこまで酷い人がね」
「喪主やれる筈ないよね」
「看病すらしなかったのに」
「弟さんの奥さん任せでね、ちなみに一番近い場所に住ませてもらっていて暇もね」
「あったの」
「そっちは都合つけてもらえる職場だったんだ」
当時働いていた場所はというのだ。
「けれどね」
「看病もしないで」
「それでだよ」
「喪主やるつもりだったの」
「そうだよ」
「これまでやったことも最低で」
一華はたこ焼きを食べてから言った、かなり時間が経っているのでもう結構冷えてしまっているがそれでも美味かった。
「看病出来るのにしなくて」
「それでだよ」
「喪主するつもりだったの」
「うん、けれど出来る筈ないよね」
「誰もさせないでしょ」
声も冷めきっていた、そのうえでの返答だった。
「喪主にどれだけのステータスあるか知らないけれど」
「まあ偉い人がするってことだね」
「そうなのね」
「なにしろ自分はこの世で一番偉いから」
「喪主するのも当然ね」
「そう勘違いしていて」
それでというのだ。
「ふんぞり返っていたら」
「誰もさせなかったのね」
「そもそもする能力だってね」
「ないわね」
「だって何もしてこなくて出来ない人だよ」
その実はというのだ。
「それじゃあね」
「お葬式の喪主もよね」
「出来る筈ないから」
到底というのだ。
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