ハッピークローバー
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第五十五話 本当の勇気その七
「どんどん悪くね」
「変わっていって」
「今ああだよ」
「色々あってボロボロになったのね」
「本人が無茶苦茶やった結果ね」
「それで長生きも出来ないのね」
「出来たら凄いよ」
達川はこうまで言った。
「あんな人生送ってたら」
「長生きした方が」
「奇跡だよ、身体の全部がボロボロなのはね」
「間違いないわね」
「あそこまで太ったし」
「昔は痩せてたのよね」
「西武の頃はね」
この頃もというのだ。
「本当にね」
「痩せていて」
「その意味でもね」
まさにというのだ。
「変わったよ」
「悪くね」
「西武の頃も内角は弱かったよ」
このことが弱点であった。
「けれどファーストでも守備はね」
「悪くなかったの」
「それで足だってね」
極端な鈍足と言われたそれもというのだ。
「結構ね」
「速かったの」
「一シーズン二桁盗塁する位ね」
「そうだったのね」
「それが巨人に行って」
フリーエージェントでそうしてというのだ。
「それでね」
「そのうえでなの」
「変になったんだよ」
「あそこまでおかしくなったのね」
「特に格闘家のトレーニングしだして」
それからというのだ。
「特にって、俺は思うよ」
「野球選手の練習しなくなって」
「野球選手だとね」
それならというのだ。
「やっぱりバット振って」
「ノック受けてね」
「ベースを走るから」
「そうした練習しないとね」
「格闘家になっても」
それでもというのだ。
「本当にね」
「見当違いね」
「そうだよ」
またこう言うのだった。
「本当に本人も馬鹿なことしたし」
「周りもよね」
「俺もそうとしか思えないしね」
その様にというのだ。
「心からね」
「そこを間違えたら駄目ね」
「何をするにも常識って大事だね」
「そうね」
一華もその通りだと答えた。
「私もつくづく思うわ」
「今のあの人見て四十代後半の人が残念そうに言ったよ」
「何て言ったの?」
「俺達が子供の頃はスターだったって」
その様にというのだ。
「言ったよ」
「そうだったの」
「本当に凄く残念そうにね」
そうした感じでというのだ。
「漫画の主人公になる位に」
「そうだったの」
「昔はね」
「その人が子供の頃っていうと」
「一九八〇年代後半だよ」
まさにその頃だというのだ。
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