彼女と思ったら妹だった

「一学年下の」
「えっ、長崎君妹さんいたの」
「ええ、そうよ」
「そうだったの」
「同じ文芸部みたいよ」
「兄妹で同じ部活だからお話してたのね」
「そうよ、よかったわね」
　茉祐は今度は微笑んで話した。
「彼女さんじゃなくて」
「ええ、ほっとしたわ」
　こう言ってだった。
　愛理は自分の机に倒れ伏している様な状態からだった。
　身体を起こした、そのうえで言った。
「生き返ってきたわ」
「それは何よりね」
「妹さんならね、しかしね」
　愛理はここで真剣に考える顔になって述べた、まるでニュータイプが何かを感じ取った様な顔であった。
「本当に彼女さん出来るかもだし」
「うかうかしていられないっていうのね」
「決めたわ、私アタックするわ」
「決断したのね」
「ええ、そしてね」
　そのうえでとだ、茉祐だけでなく他のクラスメイト達にも話した。
「交際ゲットするわ」
「そうするのね」
「これからね、じゃあ告白するわ」
　こう言って実際にだった。
　愛理は彼を校舎裏に呼び出して告白した、そして彼の返事を聞いてだった。
　その足で茉祐のところに駆け込んで彼女を抱き締めて言った。
「返事はイエスだったわ」
「それは何よりね、けれどね」
　茉祐は自分を抱き締めて喜んでいる愛理を抱き締め返して言った。
「今のあんた長崎君に見られたらことかもね」
「どうしてなの？」
「私抱き締めて私も抱き締めてるからよ」
　だからだというのだ。
「これじゃあ同性愛でしょ」
「えっ、レズなの」
「そう思われても仕方ないわよ」
　笑って彼女に話した。
「そうなるわよ」
「誤解されるのね」
「あんたが誤解したみたいにね」
　まさにというのだ。
「そうなるわよ」
「それはまずいわね」
「じゃあ離れてね」
「私が誤解して彼も誤解したらね」
「洒落になってないでしょ」
「そうね、じゃあ」
　こう答えてだった。
　愛理は茉祐から離れた、そしてあらためて満面の笑みで話した。
「よかったわ」
「じゃあその幸せ続く様にしてね」
「そうするわね」　
　笑顔のまま応えた、そして彼との幸せな時間に入ったのであった。


彼女と思ったら妹だった　　　完


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０２３・１・１７