ハッピークローバー
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第五十二話 体力があるのでその十
「そうした時代だったのね」
「そうよ、幕末京都は物騒だったけれど」
「新選組とか人斬り以蔵とか」
「もう切った張ったでね」
「志士と新選組がぶつかってたわね」
「あそこはそうだったけれど」
それでもというのだ。
「無差別じゃなかったしね」
「お互いが殺し合ってただけで」
「そう、言うならヤクザ屋さんの抗争だったのよ」
「ヤクザ屋さんって」
「新選組そうだったみたいよ」
理虹は実加にあっさりとした口調で答えた。
「武士とか言ってるけれど」
「ヤクザ屋さんみたいだったの」
「裏切り裏切られで夜討ち闇討ちばかりだったし」
これが志士達に対してだけでなく隊内でもだったのだ、芹沢鴨や伊東甲子太郎もその中で死んでいっている。
「それじゃあね」
「そう言われるとヤクザ屋さんね」
「そうよ、寝ていたら襲撃とか」
芹沢鴨はそれで死んでいる。
「酔わせて夜討ちもね」
「本当にヤクザ屋さんみたいね」
「そうだったから」
理虹は伊東甲子太郎のことも話した。
「かなり酷かったのよ」
「それで京都の町もなの」
「言うならヤクザ屋さんが争ってるもので」
「庶民の人達は普通だったの」
「蛤御門の変とかもあったけれど」
「他の国の他の町よりはなの」
「平和だったわ」
こう妹の話した。
「幕末でもね」
「そうだったのね」
「それは今もだけれど」
それでもというのだ。
「用心はすることよ」
「夜道は一人で歩かない」
「そうよ、暗くて人気のないところは」
「絶対になのね」
「最初から行かないことよ」
こう言うのだった。
「いいわね」
「わかったわ」
実加もここまで聞いて頷いた。
「私もね」
「そうしてね」
「絶対にね」
「それがいいわ」
「子供だから大丈夫とか」
「中三はもう結構出てるとこ出てるわよ」
その頃になればというのだ。
「それに子供でもよ」
「襲われるの」
「変態さんって何処でもいるわよ」
それこそというのだ。
「ロリコンもいるでしょ」
「言われてみれば」
「そんな人もいるのよ」
世の中にはというのだ。
「それも見てるだけじゃなくてね」
「襲って来るのね」
「そうよ、だから注意しないといけないのよ」
「女の子は」
「極論すると男の子もだけれどね」
「今度はホモね」
「お金もあるでしょ」
人間にはというのだ。
「欲しいものは」
「ああ、お金はね」
「これが一番かもね」
「危ないのは」
「ひったくりも暗くて人気がない方がしやすいから」
目撃者が少なくかつ人気がないうえに夜の闇の中に隠れられる、そうした条件が揃っているからである。
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