仮面ライダーBLACK RX〜ネオゴルゴムの陰謀〜
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第二話『ネオゴルゴムの謎』
ネオゴルゴムからの襲撃を受けた翌日、光太郎は霞のジョーと響子をキャピトラに呼んだ。
「電話である程度の話は聞いたけど、一体どういうことだいアニキ?話に出ていたゴルゴムって、クライシス帝国が侵略を始める前に倒した組織だろ?」
霞のジョーは自身の知るゴムゴムに関しての出来事を話す。
「そうだ。でも、壊滅できたのは組織だけで、怪人達は生きていて、また活動を始めたんだ。」
光太郎は昨日起きた出来事を二人に話す。
「それにしても、俺達はそのゴルゴムって組織を詳しく知らないんだ。アニキ、教えてくれないか?」
「そうね、私もゴルゴムが活動していた頃って子供だったから詳しく覚えていないわ。確か、一度だけ日本を支配して、私も逃げた記憶があるけど…」
二人はゴルゴムが過去に行ってきたことを聞こうとする。その時、
「そうね、たしかに一時期、日本を支配したことがあったわ。」
「でも、お義兄ちゃんが復活したら、すぐに日本に平和が戻ったけどね。」
キャピトラの扉が開いて二人の女性が入ってくる。
「あんた達、一体誰だい?」
霞のジョーは女性達に質問する。すると、
「克美さん、それに杏子ちゃん!久しぶり!無事で良かった!」
光太郎は二人にすぐに反応した。
「アニキ、知っている人なのか?」
霞のジョーは質問する先を光太郎に変える。
「二人には面識がなかったね。紹介するよ。こちらは紀田克美さん。」
「よろしく。」
「克美さんは信彦の元恋人で、俺がゴルゴムと戦っていたときの協力者の一人なんだ。」
「そんな大げさなことはしていないわ。それに、ゴルゴムに支配されてすぐに私達はアメリカに逃げちゃったし。」
「懸命な判断だと思う。それで、確か克美さんって今は…」
「あの時に本場での英会話は日本で教えているものと全然違うって知って、今は英会話教室の先生よ。」
光太郎は、身内との久しぶりの再開に話を膨らませる。
「それで、こちらの方は?」
響子はもう一人の女性の事を光太郎に聞く。
「ごめんごめん。こっちは秋月杏子ちゃん。信彦の妹で、俺の自慢の義妹だよ。」
「はじめまして。」
光太郎の紹介を聞き、杏子は挨拶をする。
「私と同じ名前なんですね。私も響子っていうんです。よろしくお願いします。」
響子は杏子と握手を交わす。
「しっかし、世間は狭いな。こんな身近に『きょうこ』って名前が被るなんて、奇跡もあるんだな。」
霞のジョーは感心している。
「それで、二人はどうしてここに?」
光太郎は克美達に質問する。
「ゴルゴムがまた活動を始めたって話を聞いて、今度こそ光太郎さんを手助けしたくて。」
「あの時は何もできなかったけれど、今は時代も変わったから、私達にも手伝えることだってあると思って、ここに来てみたの。」
克美達は事情を説明する。
「そうだったのか。それなら、過去にあったことを俺達三人で説明するか。」
「そうね。お義兄ちゃんから見たゴルゴムと、私達から見たゴルゴムは、イメージが違うかもしれないし。」
光太郎達は話をまとめ、かつて何があったのか話し始める。
「暗黒結社ゴルゴム、遥か太古の時代から裏で地球を支配し続けていた組織で、組織のあり方は『優れた人間を怪人に改造し、それ以外の人間を滅ぼして怪人達による理想世界の実現』だ。」
「優れた人間って、例えば?」
「様々な分野で画期的な功績を残した人物や、美貌や才能に優れた者をゴルゴムはスカウトし、スカウトされた者は怪人の持つ長い寿命を求めて、スカウトを受け入れてゴルゴムのメンバーになるんだ。」
霞のジョーの質問に、光太郎は答えながら説明していく。
「ゴルゴムは、政界の大物をメンバーに引き抜いて自分達にとって行動しやすい環境を整えたり、学者をメンバーに加えて怪人の強化や科学実験の隠れ蓑を用意したりもするわ。」
光太郎の説明に克美が付け足す。
「なるほどねぇ。じゃあ、なんでアニキはゴルゴムにに改造されたんだ?アニキはそこまで顔がいいってほどでもないだろ。」
「そうね、サボテンに水をあげすぎると腐ることも知らなかったみたいだしね。」
霞のジョーの言葉に杏子も頷く。
「杏子ちゃん、何十年も前のことを今更言わないでくれよ。そうだな、俺…というより俺と信彦が改造されたのには別の理由があるんだ。」
「別の理由?」
「ああ。ゴルゴムの長である創世王は五万年に一度、代変わりをする必要があるんだ。そして、創世王が誕生して五万年が経過した日食の日に生まれた二人の青年を戦わせ、勝利したほうが次の創世王になる儀式を行うことをゴルゴムは神聖な行為だと崇めているんだ。」
「つまり、その日食の日に生まれたのが…」
「そう、俺と信彦だ。いや、俺達は同じ日に生まれるようにゴルゴムに仕組まれていたのかもしれない。そして、俺は仮面ライダーBLACKに、信彦はシャドームーンへと改造され、完全改造が終わる前に脱出できた俺はゴルゴム打倒のために、信彦は脳改造まで行われてゴルゴムの次期創世王になるため、戦うことになった。」
光太郎は自身が改造され、戦場に見を置くことになった理由を話した。
「インターネットの発展でみんなが昔のことを調べられるようになって、当時のゴルゴムの作戦を調べられるようになって、響子さんは読んだことはある?」
「今日集まる前に少しだけ。」
「今の時代ではゴルゴムの作戦はエリートが考えたとは思えない馬鹿馬鹿しい作戦と笑われているけれど、それは違うのよ。」
「そうなんですか?」
「ちょうど同じ次期に、高学歴の学生を中心にしたカルト宗教組織があって、大人達はゴルゴムに、若者達はそのカルト宗教に入るなんてことはよくあったわ。もう響子さんも大人になっていたから記憶にあると思うけど、そのカルト宗教組織が起こした犯罪行為はニュースで何度も放送されていたはずよ。」
「確かに、それは覚えています。」
「結局、人に認めてもらいたいだけでエリートへ道を進める人はみんな、根底にあるものは『優れている自分を理解できない人は必要ない』って選民思想が根付いているのかもしれないわ。」
杏子の話を響子は熱心に聞く。
「それに、ゴルゴムの作戦の本当に恐ろしい所は行動自体ではなく、人の心を利用する所にあるんだ。奴らは猜疑心を煽っていがみ合わせたり、弱みに漬け込んで悪事を働かせることを平気で行う。こればっかりは当時を知らないとわからないことだ。」
光太郎は話を付け加える。
「じゃあ、佐原の親父さんたちが言っていた、こっちに来た頃のアニキの心が消耗しきっていたってのは、ゴルゴムの作戦を目の当たりにしてきたからか?」
「そうだ。だからこそ、ゴルゴムを壊滅できて平和を取り戻せたと思っていたが…」
霞のジョーの言葉に光太郎は思いを述べる。
「でも、今ではSNSの発達もあって、ほら!」
杏子は自身のアカウントに流れてきた発言を見せる。
『 100%人工甘味料 @mumimusyu 2分前
なんか変なカブトムシのコスプレしている人がいるんだけど 2023年x月y日9:42』
杏子の見せてきた画面にはその文章とともに人型のカブトムシと説明するのがわかりやすい何かが写っていた。
「杏子ちゃん、これ!」
その写真に、光太郎はすぐに反応する。
「うん、多分ゴルゴム怪人だと思う。」
「でも、どうしてこんな市街地にいきなり?」
「解らないわ。でも場所はここからそんなに離れていいないし、二分前の投稿だから、今からなら間に合うと思うわ。」
「ありがとう。行ってくるよ。」
光太郎は克美達に店を任せて現場へ向かった。
「エピメル、こんな下らない投稿で本当に南光太郎を誘き出せると思っているのか。」
リシュナルは呆れるように言う。
「何も解っていないな。インターネットの普及したこの時代。愚かな人間はインターネットの発言を何でも鵜呑みにする。改造人間でありながら人間の味方をする南光太郎とてそれは同じ。噂をしていれば。」
モニター越しに映るカブトムシ怪人と、そこに現れる光太郎を見ながらエピメルは笑うように言った。
「やはりネオゴルゴムか!」
現場に駆けつけた光太郎はビルにしがみつくカブトムシ怪人を見ながら言う。
「シュグググ…」
光太郎に気づいたカブトムシ怪人は地面に着地し、クモ怪人を呼び寄せる。
「変…身!」
光太郎の変身の掛け声とともに体組織を変化させる変身ベルト、サンライザーが出現し、キングストーンと太陽、2つのハイブリットエネルギーが全身を駆け巡り、南光太郎は、ロボライダーへと変身するのだ。
「俺は悲しみの王!RX!ロボライダー!」
ロボライダーは名乗ると同時にボルティックシューターを出現させる。
「そこだ!」
ロボライダーはボルティックシューターでクモ怪人の一体を打ちぬこうとするが、
「シュグッ!」
その間にカブトムシ怪人が割って入り、頭部の角でエネルギー弾を弾いてしまう。
「なんてパワーなんだ!」
ロボライダーが驚く中、クモ怪人は糸を吐いてロボライダーを拘束し、そこにカブトムシ怪人は突撃してくる。
「このままでは危ない!こい、アクロバッター!」
ロボライダーの呼び声に応じて生体マシンであるRXのバイク、アクロバッターはロボライダーの機械装甲にも耐えられる戦闘バイク、ロボイザーへ姿を変えながら現れ、ダッシュしながらクモ怪人の糸を引きちぎり、後方に備え付けられているバルカン砲でクモ怪人を打ち抜き撃破して、ロボライダーの拘束を解く。
「行くぞ、カブトムシ怪人!」
ロボライダーはBLACK RXへ姿を変える。
「シュググ!」
カブトムシ怪人は角を突き出しながら突進を繰り返すが、RXは突進の猛攻を華麗に躱してゆく。
「今だ!」
RXはカブトムシ怪人の突進を避けながらジャンプし、
「RXキック!」
必殺のキックでカブトムシ怪人の角を折りながら頭頂部にキックを命中させ、命の潰えたカブトムシ怪人は蒸発しながら消滅する。
「一瞬で消えた⁉」
そこに駆けつけた霞のジョーと響子は驚く。
「そうだ。ゴルゴムの怪人は証拠を残さないよう、絶命時に高熱を発しながら消えていくんだ。」
光太郎は変身を解除し、ゴルゴム怪人の特徴を二人に話す。
「やっぱり、ゴルゴムが活動を始めたのは事実だったのね。」
キャピトラに戻り、克美達に先程の出来事を話すと、二人は納得していた。
「それで、杏子ちゃん達はこれからどうするの?」
「決まっているわ。お義兄ちゃんはこれからネオゴルゴムと戦わないといけないわ。だから、私達が昔みたいに住み込みで働いて、お義兄ちゃんの生活のサポートをしたいの。」
「仮面ライダーだって、生きていくためには色々必要でしょ?戦うこと以外にも、ライダーのサポートの仕方は色々あるって、私達も考えられるようになったわ。」
「ありがとう。お言葉に甘えることにさせてもらうよ。」
光太郎はあの頃とは違う。戦いを、心の安らぎを支えてくれる心強い仲間がいることを実感し、戦いに気持ちを固めていくのだった。
続く
次回予告
集団睡魔発生事件。一見仕事疲れに思えたそれには、ネオゴルゴムのカノコソウ怪人の暗躍が隠されていた。見抜け、光太郎。『居眠りにご注意』ぶっちぎるぜ!
後書き
怪人図鑑
カブトムシ怪人
身長:208cm
体重:105kg
能力:怪力、光弾をも弾く甲殻
ネオゴルゴムに所属するカブトムシの性質を持つ改造人間。硬い甲殻はボルティックシューターの弾も弾き、怪力を活かした突進を得意とする。
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