ハッピークローバー
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第五十話 親戚の子達の世話からその十
「世の中は」
「世の中そうしたところは単純でよ」
「法律を守っていれば問題なし」
「法律の中なら何してもいいのよ」
「そこから出たら駄目で」
「そう、だからね」
「そうした意味では単純ね」
姉の言う通りにと頷いて述べた。
「確かにそうね」
「そうでしょ、だからあの子達もね」
「何しても法律に触れないなら」
「いいのよ、じゃあ今はね」
「あの子達に発散させるのね」
「好きなだけね」
まさにというのだ。
「そうしていきましょう」
「それじゃあね」
「そういうことでね、しかしね」
美奈代は二人を見てまた言った。
「二人共かなり動いてるけれど」
「まだまだ泳ぐわね」
「凄い体力ね」
「子供の体力って侮れないわね」
「そうよね、けれどここは」
「とことんよ」
クロールでひたすら競争する二人を見て話す、二人共まだ十歳にもなっていないが泳ぎのフォームはわりかし奇麗だ。
「泳いでもらってね」
「疲れてもらうのね」
「そうしてね」
そのうえでというのだ。
「お家に連れて帰って」
「お昼お腹一杯食べてもらう」
「そうしたらよ」
それでというのだ。
「確実によ」
「寝るわね」
「そうなるわ、それもぐっすりとね」
「疲れきってそれでお腹一杯になったら」
「私達だってそうでしょ」
「眠くなるわね」
「例えば悩んでる時とか」
美奈代はそうした時のことも話した。
「スポーツでね」
「身体を思いきり動かして」
「それで沢山食べてね」
「よく寝たら」
「案外あっさりするものよ」
こう話した。
「悩みがあってもあれこれ深刻にならないから」
「そうした時もいいのね」
「躁鬱症も身体を動かしたら」
思い切りというのだ。
「いい場合もあるのよ」
「それでよくなるの」
「太宰治もそうだったらしいけれど」
「だから何度も自殺しようとして」
「それで最期はね」
「遂に死んだのね」
その自殺でというのだ。
「愛人の人と心中したのね」
「そうみたいだけれど三島由紀夫が言ってたのよ」
「三島も自殺してるじゃない」
「それは置いておいてね、あの人躁鬱じゃなかったでしょ」
多分に演技的性格だったかも知れない、平岡公威という人物が三島由紀夫という理想とする小説を主として活動する芸術家をだ。
「そうでしょ」
「聞く限り全然違うわね」
富美子もそれはと答えた。
「あの人は」
「でしょ?自殺したことは同じでもまた違うのよ」
「太宰と三島は」
「三島は切腹だったしね」
市ヶ谷で自衛隊の決起を促す演説をした後でそうした、このことは三島事件として歴史に残っている。
「また違うわよ」
「そうなのね」
「それでその三島が言っていたのよ」
太宰についてというのだ。
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