魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話
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第二百七十三話
「ふにゅあぅぁう〜」
「……聞いてたかい?」
「ノン」
「そうかい。じゃあもう一度言うよ。もし、八九寺ちゃんを神にする事に失敗したら、君のマギウスを借りたい」
三月十四日。
昨日は日本に戻ってきてから、一日ゆっくり休んだ。
箒の血を少し分けてもらったり、地下でタナトニウムカプセルを起爆して呼び出したパラサイトの素を食ったりした。
そんなふうにしてなんとか一日で心臓を復旧させた。
心臓が無くても生活に支障は無かったが、メティスサイトや無意識の防壁など常駐する魔法の質がかなり下がっていた。
最悪忍野扇が再び俺を遠ざけるべく何かしらアクションを起こす可能性もあったので油断はできなかった。
まぁ、それも今晩で終わり。
ようやく束さんやロリsを呼び戻せる。
今日は夜に備えてゆっくりしておこうと、学校に欠席の電話を入れた。
2日連続でサボりだが、まぁ、大丈夫だろう。
そう思っていたところ、昼頃急に臥煙から呼び出された。
真っ昼間に吸血鬼を呼び出すとはなんてやつだと文句を言いながら家を出た。
一応真宵さんと我が姉上の分の手土産を持って、約束の北白蛇神社へと向かった。
「よう。ユートピア。ん?お主なんかあったのかの?」
山頂、鳥居の下で真っ先に出迎えてくれた我が姉上(全盛期versionWith日傘)。
たぶん登ってきてるのを感じたのだろう。
おれも鳥居の下に居るって見えてたし。
「やぁ我が姉上。ちょっとブリテンのトカゲと一戦交えてきただけだよ。
はいこれ、お土産」
と手土産のミスタードーナツ二箱を渡す。
「おお!気が利くではないか!」
ルンルンで境内を走り、神社の中に消えていった。
あの見た目で中身は幼女である。
あの体に戻って、まだ慣れないのだろう。
彼女が入っていった神社の賽銭箱の上。
そこに臥煙が座っていた。
「よく来たね、ユートピア」
「お前が呼び出したんだろうが」
「まぁね。今日はこの街を仕切る君に話があって呼び出せてもらった」
悪びれもせずに言いやがった。
「すわりなよ。少し長い話になる」
と神社の木の階段を指さした。
「じゃあお言葉に甘えて」
賽銭箱の前の石畳にクッションを量子展開する。
箒の尻尾には劣るがふかふかモフモフの最高級品である。
橙を憑依させ、吸血鬼度を少しでも下げる。
クッションにダイブ。
「話聞くきあるかい?」
「ない!吸血鬼を真っ昼間に呼び出して注文の多いやつだな。
こっちは今朝ようやく心臓が治ったところでまだ本調子じゃねーんだよ。
猫モードで少しでも能力の底上げと回復しないとまずいの」
「はぁ……じゃぁ話を始めるよ」
臥煙の話した内容は以下の通り。
・犯人はヤス…もとい忍野扇。
・奴はくらやみ”もどき”。
・神社の来歴。
・真宵さんを神にする。
・のが失敗したら専用のマギウスを作って欲しい。
そんな長話を聞かされ。
「ふにゅあぅぁう〜」
「……聞いてたかい?」
「ノン」
「そうかい。じゃあもう一度言うよ。もし、八九寺ちゃんを神にする事に失敗したら、君のマギウスを借りたい」
少し考える。
マギウスはこの世ならざるモノの集まりだ。
そのモノに器を与えて、コントロール可能にしたものがマギウスだ。
「…でき…なくはないけど…」
できるかどうかで言えば可能だろう。
ピノは成功した。
「神が務まるかどうか、神に祭り上げていい存在なのか。
不確定要素が大きすぎてなんとも…」
「危ないのかい?例のピノちゃんは君の従者として作ったのだろう?」
「あれ以来実験してねーのよ。ピノの強化はしたけど、新しい人格は作ってない」
臥煙の口ぶりからして、手札を増やしておきたいだけだろう。
真宵さんの神化は成功するだろう。
だから、保険というか、予備でしかない。
「だから、そうだな……副案の一つとしてならいいが確約はできないって感じだな」
「わかった。いざというときは別の案を使わせてもらうよ」
「育さんか撫子に押し付けるのか?」
「バレてたか。そうだね。あの二人のどちらか、もしくは両方に分散して託すのも案の内だ」
育さんと撫子。
神だった育さんだけでなく、巫女の役割を果たした撫子もパスによって神通力を得ている。
育さんの神通力が思ったより減らなかったのも、そこら辺が関係していると睨んでいる。
なので撫子にはあまり悪意を込めて絵を書かないよう釘を刺しておいた。
なおあの二人、仲直りして結託。
暦さんを狙っているそうだ。
面白いので基本的に周囲は傍観している。
馬に蹴られたくないしな。
「暦さんキレるとおもうけど?」
「うん。だから第一案ではない。こよみんと君をカミに据えようかとも思ったけど、どうせ君たちはこの街から出ていくからね」
「わかってるようでなにより」
高校に行くかもわからんしな、俺。
「それと、君には千里眼でこよみんのフォローを頼みたい」
「監視だろ?」
「フォローだよ。こよみんがバカな事をしそうになったら止めてほしい」
人それを監視という。
「ま、あの人なら彼女を助けようとしかねないしな。
不死身だから良かったものの、コタンジェントは月日の仇だ」
「ははっまさか。実害が出てるんだ」
そのまさかをやっちゃうんだなぁ。
その夜。一度帰った俺は箒と奏を伴って浪白公園へ向かった。
やはりというか何故かというか、クリケットが行われていた。
「よぉ。キスショット。いや忍」
「久しいなデストピア。今は奏だったかの?」
奏と我が姉上が向き合いニカッと笑った。
すごくカッコいい。
「臥煙。とりあえず万一に備えて戦力は揃えてきたぞ」
「そのようだね」
臥煙が箒をちらりと見る。
ムーバルスーツの上から巫女服を着ている。
前腕や袴に隠れたスネ部分には格闘用のアーマーがついている。
さらに腰には両サイドにサイコ・E・カーボン製逆刃刀宵闇を一本ずつ装備している。
加えて使い魔を憑依させており、秋の稲穂のように輝く金髪と4本の尻尾を揺らす。
さらにISやらナノマシンやら薬理やらを使ったダメ押しで二成化して完全性まで会得している。
「少し過剰戦力というか、正面戦闘力はそんなに要らなかったんだけど、まぁ、うん。このクラスの神使が居れば安心か」
「今日は異変の元凶と派手にドンパチするかも、と一夏からは聞いていたのですが」
と箒が臥煙に尋ねた。
そういえばそんなことを言った気もする。
「そうならないための最後の準備を今からするんだ。それにそうなっても近接戦でどうにかなる相手でもないしね」
箒が近くのベンチに腰掛け、俺を膝の上に乗せる。
「俺は少しキスショットと遊んでくるぜ」
「好きにしろ」
暦さんはもう少しかかるかな。
時折飛んでくる石を干渉装甲で弾きつつ、クリケット観戦をしていると、暦さんが近づいてきているのがわかった。
「やぁ、我が甥…ではないな。阿良々木暦よ。遅かったじゃぁないか」
「ユートピアと....こないだの」
と奏の方に視線を向けた。
「ようヘタレ野郎。俺様は奏。織斑奏。お前のお婆ちゃんさ」
クリケットを切り上げた奏が偉そうに暦さんに自己紹介する。
暦さんが我が姉上に疑問の視線を投げかけた。
「待っておれお前様よ」
「クリケットで忙しいってさ」
「なんで石でやってんの?」
「しらん」
クリケットが終わり、作戦会議を始める。
俺は箒の膝の上だ。
真宵さんは奏の膝の上に。
「作戦会議を始めよう」
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