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レーヴァティン

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第二百七十七話 神殿に入りその十一

「それでは」
「ああ、まずは背を向けていてな」
「神を見ない様にして」
「扉が閉じられたらな」
「その後はですね」
「待っていてくれよ、勝ったら扉を開くな」 
 中に入って閉じたそれをというのだ。
「そうするからな」
「その時にですね」
「迎えてくれよ」
「そうさせてもらいます」
 将軍も応えた。
「必ず」
「戻って来ないとは思ってないよな」
 久志は将軍にこうも問うた。
「まさかな」
「皆様がですね」
「クトゥルフに敗れてな」
 そうしてというのだ。
「それでな」
「それはないです」
 絶対にとだ、将軍は答えた。
「何があっても」
「ああ、俺達は勝つ」
「必ず」
「確かに神は偉大だよ」
 このことは事実だというのだ。
「何よりもな」
「それでもですね」
「ああ、その神から見れば人なんてな」
「まさに塵芥ですね」
「そうだけれどな」
 それでもというのだ。
「塵芥も積もって集まればな」
「馬鹿に出来ないですね」
「しかも強くなるんだ」
 こうも言うのだった。
「塵芥一つ一つが」
「最初はまさにそんなものでもな」 
 塵芥と呼ぶしかないものでもというのだ。
「けれどな」
「その一つ一つが集まれば馬鹿に出来ず」
「全てが大きくなっていくからな」
「それも無限に」
「だからな」
「神にもですね」
「勝つさ」 
 絶対にというのだ。
「何があっても」
「左様ですね」
「だからな」
「ここで、ですね」
「待っていてくれよ」
「わかりました」
 将軍も微笑んで応えた。
「そうしてですね」
「勝った後でな」
「宴ですね」
「国を挙げてな」
 二つの浮島のというのだ。
「そうしような」
「はい、それでは」
「行って来るな」
 手を振った、そうしてだった。
 久志は笑顔で扉に手をかけた、英雄は笑いはしなかったが彼もまた扉に手を書けた。それを見てだった。
 将兵達は背を向けた、それを見届けてだった。
 二人は扉を開けた、そのうえで神との戦に赴いた。


第二百七十七話   完


                  2022・10・8 
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