ハッピークローバー
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第四十七話 大人の服装はその八
「氷山の一角よ」
「実際はもっと多いですか」
「被害者は黙ってないと内申書がどうとか脅されて」
そうされてというのだ。
「泣き寝入りよ」
「とんでもないことですね」
「けれど殴ったり蹴ったりでもお咎めなしよ」
暴力を振るってもというのだ。
「教師が生徒にね」
「それならセクハラもですか」
「簡単に揉み消せるのよ」
かな恵に答えた。
「それが出来るから」
「だからですか」
「わかってることはほんの一部で」
氷山の一角でというのだ。
「とんでもない数かも知れないわ」
「学校の先生こそですか」
「一番気をつけないといけないかもね」
「セクハラとかについては」
「それで女性同士でも」
それでもというのだ。
「気をつけることよ」
「その人の目を見て」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「ギラギラしていたら」
「近寄らないことですね」
「そうすることよ」
「同性愛のことは知ってましたけれど」
「注意しておいてね」
「襲って来る人もいるんですね」
「そうしたものだからね」
だからだというのだ。
「確かに彼氏さんが強かったらね」
「それだけで言い寄る人は引いて」
「自分も強かったらね」
「余計にいいですね」
「けれどまずは」
何といってもというのだ。
「危ないことはしないで」
「危ない格好もしない」
「それで危ないところにも近寄らないことよ」
「それが第一ですね」
「そうよ」
「あの、じゃあ」
一華はここまで聞いて店長に尋ねた。
「今どうして」
「あんた達に見せたかよね」
「水着姿を」
「今似合ってるかどうかね」
「それをですか」
「確認したくてよ」
だからだというのだ。
「それでなのよ」
「お見せしたんですか」
「そうなのよ、今度彼と一緒に遊ぶ時にね」
「その水着で、ですか」
「そうするつもりだから」
そう考えているからだというのだ。
「確かめたくてね」
「着られたんですね」
「そうよ、けれどあんた達が言ってくれたから」
それでとだ、にこりとして話した。
「よかったわ」
「じゃあ今度」
「彼氏と海に行く時はね」
「その水着を着られますね」
「そうするわ」
こう言ってだった、店長は。
傍に置いてあった黒いティーシャツを上から着た、そうして腰の辺りまで覆ってそのうえで話した。
「これでいいわね」
「あの、それでもです」
一華は水着の上からティーシャツを着た店長にあらためて言った。
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