ハッピークローバー
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第四十七話 大人の服装はその六
「徐々に馴れていって」
「何でもなくなりますか」
「何でもね」
「そうしたことも」
「そうよ、しかしこの水着はじめて着て彼に見せた時は凄かったのよ」
紺のスリングショットの水着、胸をワンピースで上下から隠しているが臍も腹のかなりの部分も脇も露出しているその水着を自分でも見つつ話した。
「ビキニよりもエロいって言われてね」
「実際にそうですね」
かな恵が見てもだった。
「際ど過ぎます」
「だからその場で押し倒されてね」
「三回ですか」
「続けてね」
「それでその後二回ですね」
「それだけこの水着はエロいみたいね」
「その水着でビーチに出て大丈夫ですか?」
かな恵は笑って話す店長に怪訝な顔で尋ねた。
「誰かにナンパされたりとか」
「ああ、断るから」
「そうですか」
「そうするしね、断り方があるのよ」
「どんなのですか?」
「彼氏いてね」
かな恵に笑顔のまま話した。
「それで空手五段ってね」
「それ本当ですか?」
「実は本当なの」
これがというのだ。
「外見はそうは見えないけれど」
「空手五段ですか」
「それでかなり強いのよ」
「そんな人が彼氏さんだと」
「それだけで結構あるでしょ」
「はい、確かに」
「空手が強いっていうのは危険な凶器を持っていることと同じよ」
アメリカの推理小説の主人公バージル=ティッブスと同じ台詞を言った、アフリカ系の名刑事である。
「だから彼もね」
「強いんですね」
「かなりね、私も合気道してるし」
「そうなんですか」
「二段ね、それに上から黒いシャツ着るから」
「濡れても水着は精々ラインが出る位ですね」
「完全に見せないならね」
スリングのその水着をというのだ。
「周りも変に露出しないわ」
「だからいいんですね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「大丈夫よ。流石に露出の多い服で一人で人前に出たら」
「危ないですよね」
一華も言った。
「それは」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「そうした用心もよ」
「必要なんですね」
「さもないとね」
用心をしないと、というのだ。
「幾ら合気道をしていてもよ」
「危ないですよね」
「相手が武器とか持っていたり大勢だったら」
そうした場合はというのだ。
「合気道でも相手にしきれないこともあるから」
「最初から用心することですか」
「あんた達だから見せられるの」
露出の多い水着姿もというのだ。
「まさか五人で襲わないでしょ」
「そうした趣味ないですよ、私達」
富美子が笑って否定した。
「レズじゃないですし乱暴なこともです」
「しないわね」
「これでも真面目なつもりですから」
そうした女子高生だというのだ。
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