X ーthe another storyー
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第二話 来訪その十
「これからね」
「それでは」
二人で話してそうしてだった。
それぞれの向かうべき場所に向かった、遊人はビルからビルに飛んで行ってそちらに向かっていった。
そしてその時だ、封真は。
小鳥にだ、笑顔で話していた。
「神威の住所がわかった」
「そうなの」
「ああ、だからな」
それでと言うのだった。
「今から行って来る」
「神威ちゃんのところに」
「そうしてだ」
「会ってなのね」
「話をする」
こう言うのだった。
「是非共な」
「私は今家事があるから」
「行けないな」
「御免なさい」
「謝ることはない」
封真は謝る小鳥に笑顔で応えた。
「お前はお前のやることをだ」
「すればいいのね」
「だからな」
それでというのだ。
「お前は待っていてくれ」
「家事をしながら」
「そうしてくれ」
優しい声で話した。
「いいな」
「それじゃあね」
「きっとだ」
封真は優しい顔でこうも言った。
「神威は今は緊張しているんだ」
「そうなの」
「東京に久し振りに戻ってきてな」
それでというのだ。
「それだけだ」
「そうなのね」
「だからな」
「打ち解けたらなら」
「きっと昔の様にな」
「仲良く出来るのね」
「そうだ」
こう言うのだった。
「必ずな」
「そうよね、神威ちゃんは神威ちゃんよね」
兄の言葉を受けてだった、小鳥は気を取り直して微笑んで頷いた。
「だからきっとね」
「昔に戻れるな」
「そうよね」
「その為にもだ」
「これからなのね」
「神威のところに行って来る」
是非にという言葉だった。
「そうしてくる」
「ええ、それじゃあね」
「晩ご飯は取っておいてくれ」
「そうするわね」
「小鳥、安心するんだ」
封真は妹に微笑んで答えた。
「俺は何があってもお前を護るしな」
「神威ちゃんもよね」
「お前を護ってくれていたな」
「ええ、私が木から落ちそうになった時も」
その時もとだ、小鳥は子供の頃のことを話した。
「ずっとね」
「俺がお前達を見付けて助けを呼ぶまでだったな」
「私を持っていてくれたわ」
「そうだったな、俺も覚えている」
「そうよね」
「神威は神威だ、あいつの目を見ればわかった」
「昔の神威ちゃんね」
兄に話した。
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