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インフィニット・ストラトス ~五年後のお話~

作者:リクヤ
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学園生活
  第十四話 クラス代表戦前日!

教室






病室でのあの出来事から二日後、輝龍は打撲が残るものの退院することが出来たので今まで通りの生活に戻った。

三日来ていなかった1-1のドアをくぐる。


「おはよー」


「輝龍君だ!!」
「久しぶりー」
「怪我治ったんだねー」


入った途端にみんなから言葉をかけられる。


「ねー、何で怪我したの?」

「あー、ごめん。それ話ちゃいけないんだわ」


あの無人機の事件には緘口令(かんこうれい)がしかれたため、クラスのみんなは俺が怪我をしたことは知っているが原因は知らないのだ。



「なんか重要のことなの?」

「まあな、ごめんな」


そんなことを話していたら織斑先生が入ってきた。


「みんなー、朝のHR始めるぞー。席に着けー」


声を受け、話していたみんなが席に着く。

「あれ?メイがいないな・・・」


輝龍が座る時にふと斜め後ろの席を見たがメイが見当たらない。もうHRが始まる時間だというのに。


「先生、メイが見当たらないんですけど知ってますか?」


「またあいつは今日もいないのか・・・」


「今日も?」


「ああ、三日前からクラスに顔を出さないんだよ。たぶんあのことだろうけどな」


そう。輝龍はあのIS襲撃の時メイに嘘をついて攻撃させたのであった。つまり、教室に来ないのは輝龍のせいということになる。


(俺のせいでメイが責任を感じるのは嫌だな・・・)


「・・・すみません、メイを探しに行ってもいいですか?」


「・・・一校時が始まるまでに戻ってこいよ」


「ありがとうございます!!」


織斑先生の言葉を受けてすぐ輝龍は席を立ち、教室から出て行った。




__________________


屋上




IS学園の屋上。見晴らしの良いここにメイは来ていた。メイは昔から見晴らしの良い所が好きなのでここはお気に入りの場所である。思い悩むことがあると見晴らしの良い所に来るのがメイの癖であった。


「きっとここにいると思うんだけど・・・」


その癖を知っていた輝龍は真っ先に屋上へと向かって来たのであった。
そして今は最後の階段を上りきるぐらいのところである。


「よっと」


通常より少し重いドアを開けて屋上へと出る。



そこには予想通りメイが座って景色を眺めていた。


「メイ」


「ん?」


輝龍が呼びかけるとその声に反応してこちらを向いた。
そして、メイはこちらに気づいた途端、ムスッとした顔になり立ち上がりいきなり、こちらに向かって走ってきた。

「メ、メイ・・・?」













「この馬鹿やろー!!!」






「うぐ!!」






メイは思いっきりジャンプをして輝龍に飛び蹴りを喰らわせた。





「ぜ、全身の打撲がぁ・・・」


輝龍はまだ治っていなかった打撲に飛び蹴りを受けてしまったので悶え苦しんでいる。



メイはその上に馬乗りになり、輝龍を叩き始める。


「馬鹿・・・馬鹿・・・馬鹿・・・本当に馬鹿・・・」


しかし、叩いているメイの拳には力は込められていない。



「メイ・・・?」



よく見るとメイの目には涙が浮かんでいた。



「キリューは私の仲間なのに・・・何で一人で頑張ろうとするの・・・?仲間は助け合うものでしょ!?一人だけ勝手に傷ついて!!仲間なんだから・・・頼ってよ!!」





「メイ・・・ごめんな・・・」



あの時のISに襲撃されたときのことを怒っているのだろう。メイは人一倍仲間を大切にすることを大事にしている。だからこそ、あの時の輝龍の行動は許せなかった。



「本当にごめんな、俺が悪かったよ。嘘ついて勝手に一人で突っ走っちゃって。今度からは仲間に頼ることにするからさ」



「グス・・・本当だな・・・?約束だぞ・・・?」


「ああ、約束だ」




こうして輝龍はメイと仲直りし、二人は教室に戻ったのだった。








_______________
放課後



輝龍SIDE




放課後になり、輝龍は職員室へと向かっていた。理由は二日後のクラス代表戦についてである。あそこでは代わりにアルバレルトが出ると決めてしまったが、先生に認めてもらえないといけない。そのために輝龍は来ていた。



職員室の前に着いたら丁度織斑先生が職員室から出てくるところだった。


「先生、ちょっと良いですか?」


「ん?輝龍か、どうしたんだ?」


「クラス代表戦のことについて相談がありまして・・・」


「何なんだ?」


「実は俺の代わりにアルバレルトが出るようにしたいんですけど・・・出来ますかね?」


「出来るけど・・・どうしてだ?アルバレルトの夢のためか?」


「夢?何ですか、それは?」


アルバレルトの夢なんて聞いたことがないので少し驚いた。


「アルバレルトが国家代表を目指してることだよ。そのために代わるんじゃないのか?」


(・・・そのためにクラス代表に立候補したのか)


「・・・西条?」


「あ、すみません。ボーッとしてました。あ、理由はそうです」


(そう言ったほうが通りやすそうだからな。)


「それなら別にいいだろう。担当の先生に言っとくよ」


「ありがとうございます。あと、整備室って一年生でも使えますかね?」


「使えると思うけど・・・何に使うんだ?」


「新しい武器を作りたくって。自分の部屋だとさすがに限界があるんで」


「そういえばお前はアメリカでISの武器を作ってたんだっけな。銀(シルバー・)の鐘(ベル)はお前が考えたんだろう?」


「こんなのどうですかって案を出しただけですよ。実際に作ったのは先輩たちです」


そう。あれは輝龍がアメリカに来たばっかりの時に試しに出してみた案が元になって出来たのである。こんなのがあれば強いんじゃないか、という軽い乗りで出したら本当に作ってしまったのだからあの国の技術者は凄い。



「そんなお前が作る武器か。面白そうだな、楽しみにしておくよ」


「ありがとうございます。じゃあこれで」


「おう。頑張れよ」


輝龍は職員室を後にして整備室へと向かう。


(あんな夢があったなんて・・・アルバレルトの夢のためにも頑張って作らないとな・・・!)


そんな決意を胸に輝龍は走っていく。





整備室

「ここだな。」

許可をもらったあと自分の部屋から道具を持ってきた輝龍は、早速整備室に来ていた。

他にドアとは違い、整備室のドアはISを運び入れられるように大きくなっている。
ドアも合金で出来ており、ISの攻撃にも耐えられるらしい。
その分重いドアを開けると中には20人程の生徒がいた。制服から見るに全員先輩のようだ。

「こんにちはー・・・」

「嘘!?西条君!?」
「何でこんなところに!?あたし今スッピンなのに!」
「あたしも!ちょっとメイクしてくる!」
「あ、あたしもー!」

どうやらここでも輝龍の存在は有名らしく、急いで走って行く先輩が五人程いた。

(別にスッピンなんて気にしないのに。)

少しでもかわいく見られたいという女心がわからない輝龍だった。

「そ、それでどうして整備室なんかに?」

「いや、機材を使いたいのですが一番揃っているのがここだったんで・・・お借りできますかね?」

「どうぞどうぞ、ご自由に!何なりと!」

(何か将軍みたいな扱いだなー)

お言葉に甘えて機械を使わせてもらおう。流石と言うべきかIS学園の整備室には軍顔負けの機材や機械が揃っている。ここならアメリカにいたときのように武器が作れるだろう。

「あの・・・西条君は何をするの?専用機の整備ならあたしたち手伝うよ!」

「いや、今日は新しい武器を作りに来たんです。」

「武器?西条君、作れるの!?」

「はい。IS学園来る前はそれで飯食ってましたから。」

「すごーい!ねえねえ、作ってる所見させてもらってもいい?」

「ええ、別にいいですよ。」

「やった!滅多に見られないよ、こんなの!」

「整備班で良かった~!」

(凄い喜ばれている・・・)

少し緊張するが時間も無いので急いで製作に取り掛かった。



次の日、武器は先輩方の手伝いもあり、完成させることが出来た。整備室に行ったら話を聞いた人たちがいっぱい居て驚いたが、皆良い人たちでよかった。

そこに新聞部の横山 (かおる)と言う二年の先輩が写真を撮りたいといったので、そこに居た整備班の人たちと集合写真を撮った。

「その写真出来たら頂戴ね。言い値で買うわ。」
「私はネガごとお願い。」

そんな会話が聞こえた気もするが気にしないでおこう。

_________________
試合前日



プルル、プルル、プルル、ガチャ。


「はい?」


「あ、もしもし、輝龍です。」


「あら、久しぶりね。3ヶ月振りじゃないかしら」


「そんぐらいになりますね。そっちの方はどうですか?」


「今は日本に行くためにてんてこ舞いよ。明日だっていうのにあの子が忘れ物したって言うんだからもう大変。」


「あいつはいつも通りですか・・・大変ですね」


「本当ね・・・。そういえば何の用なの?こんな話のために電話するような性格じゃないでしょう、あなた」


「あ、そうでした。実は明日見て欲しい奴がいまして」


「あなたが出るんじゃないの?」


「まあ、色々ありまして・・・代わりにアルバレルトっていう奴が出るんですけど、そいつのこと注目してみてください」


「あら、あなたが押すほどの人なの?」


「ええ、武器の使い方がうまいんですよ!」


「それはあなたが気に入りそうね・・・」


「そう言う訳じゃないんですけどね・・・」


「まあ、見ておくわ。そろそろ飛行機の時間だからまた明日ね」


「また明日」


電話を切って、輝龍は寝床に着いたのだった。


 
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