ハッピークローバー

「そうしたお話あるでしょ」
「そうですよね」
「浮気した旦那さんが奥さんにぶすりとか」
　そうしたことはあるというのだ、事実こうした話は昔からどの国においても存在している話である。
「危険な情事みたいなこともね」
「危険な情事？」
「昔そうした映画があったの」
　そう言われてもわからないという顔になった留奈に答えた。
「旦那さんが浮気して」
「奥さんにぶすりですか」
「いや、愛人さんにね」
　こちらの人がというのだ。
「それがまた怖かったのよ」
「そんな映画があったんですね」
「そう、それでね」
「その映画みたいなことにですか」
「下手したらなるわよ」　
　実際にというのだ。
「それでね」
「そうした人とはですね」
「付き合わないことよ」
「遊ぶのも駄目ですか」
　理虹が言ってきた。
「私達が例え誰とも付き合ってなくて」
「一晩だけでもお付き合いね」
「そうしたことは」
「あんた達に相手がいたら駄目よ」
　そうであるならというのだ。
「浮気はね、さっきお話した八条止さんは結婚しておられるけれど」
「それでもですか」
「相手がいない人限定でもね」
「遊ばれてるんですね」
「あの人は何でも奥さんずっとおられなくて」
「離婚されたんですか」
「いや、何か奥さん行方不明らしいのよ」
　店長はこの辺りの事情はよく知らなかった、それでこう理虹に話した。
「もっともその前からね」
「そうした遊びをですか」
「奥さんも公認だったらしいけれど」
「そんな人滅多におられないですよね」
「だから相手がいたら」
　交際相手がというのだ。
「しないことよ」
「訴訟とか刃傷沙汰とか」
「冗談抜きに修羅場になるから」
　だからだというのだ。
「そうしたことはそうした漫画だけよ」
「リアルでするとですね」
「最悪人生終わるわよ」
　その結末が待っているというのだ。
「離婚慰謝料解雇とかね」
「因果応報のオンパレードですね」
「実際に終わるケースもあるから」
「ブスリですね」
「アメリカだとズドンでね」
　この国が銃社会であるのでというのだ。
「そうなるわよ」
「だから浮気はですね」
「しないことよ」
「遊びでもですね」
「危険な情事でもそのつもりだったから」
　この映画でもというのだ。
「いいわね」
「しないことですね」
「くれぐれもね」
「お母さんも言ってます」　　　
　富美子も言ってきた。