X ーthe another storyー
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第一話 開幕その二十二
「やがてな」
「だから今はなのね」
「わしの言葉を覚えておいてくれ」
「聞くんじゃなくて」
「そうしてくれ」
覚えておけというのだ。
「いいな」
「そうするわね」
「俺もだ」
封真も答えた。
「そうするよ」
「私もね」
「そうしてくれ。わしも出来るだけ生きる」
鏡護はここで微笑んだ、そうして自分の話をした。これまでと雰囲気はそのままだが表情には綻びが出た。
「そして三人と他の人達を見たい」
「お父さんとしては」
「そうだ」
こう言うのだった。
「何があってもな」
「そうなんだな」
「私達が神威ちゃんと仲良くしていて」
「他の人達ともか」
「そうしている姿がなのね」
「見たい、運命はだ」
これはというと。
「一つではなく変わり」
「最悪のものもあれば」
「最善のものもあるのね」
「それを選ぶのは人だ」
「つまり俺達か」
「私達自身なのね」
「そうだ」
まさにというのだ。
「神ではない」
「人間か」
「あくまでそうなのね」
「人間は確かに小さい」
そうした存在だというのだ。
「それは事実だ、しかしな」
「それと共にか」
「そうしたことも出来るのね」
「強くもある」
小さいがというのだ。
「そのこともだ」
「覚えておくんだな」
「そうすることね」
「そうだ、よくな」
こう話した、そしてだった。
鏡護は話を終えた、それからは二人を下がらせてそのうえで自分も休んだ。だがそれでもであった。
次の夜星を見てだ、夢の中で言った。
「間もなくか」
「はい」
丁が出て来て言ってきた。
「はじまります」
「そうなのですね」
「そして貴方は」
丁は頭を垂れ悲しい顔で述べた。
「私の夢見は外れません」
「それで、ですね」
「先にです」
「そうですか、ですが」
「貴方のお考えはですか」
「変わりません」
そうだというのだった。
「変えられるとです」
「お考えですか」
「ですから」
それ故にというのだ。
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