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イベリス

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第七十八話 夏バテも考えてその十

「西郷さんもダイエットでよ」
「歩いていたの」
「あの人維新の後お仕事が忙しくて太って」
「そういえばそのお話もね」
「聞いたことあるわね」
「ええ」 
 咲はそれはと答えた、そしてリビングに入ってだった。
 冷蔵庫を開けて冷えた麦茶をコップに入れて飲んだ、そうしてから料理を作りにかかった母に言った。
「だから犬を飼ってね」
「銅像にもなってるのよ」
「上野でね」
「そうなのよ」
「背は一七八あってね」 
 当時かなり大柄であった。
「体重は百三十とかあったのよね」
「そこまで太ったからよ」
「ダイエットにお散歩してたのね」
「周りが心配してよ」
 その肥満に対してだ。
「それでなのよ」
「犬をわざわざ飼ってもらって」
「それでお散歩してね」
「そういうことだったのね」
「だからお母さんもよ」
「モコ連れてお散歩してるのね」
「モコの健康にもいいしね」
 キッチンから今はケージの中にいる彼女を見つつ話した、見ればもうケージの中で丸くなろうといている。
「それに家族との交流にお外歩くと社会を学ぶことにもよ」
「なるからいいのよね」
「犬のお散歩はね」
「いいこと尽くしね」
「それでモコもお散歩大好きなのよ」
 彼女自身もというのだ。
「毎日二回のそれがよ」
「楽しみになってるわね」
「若しお散歩に連れて行かなかったり」
 犬をというのだ。
「一日中ケージに入れたままにしてほったらかしなら」
「最初から飼わない方がいいわね」
「資格なしよ」
 犬を飼うそれがというのだ。
「もうね」
「そう言っていいわね」
「だからね」
 それでというのだ。
「お母さんもお父さんもね」
「モコにはそんなことしないのね」
「それは飼育放棄よ」
 これにあたるというのだ。
「お散歩に連れて行かない、一日中ケージに入れたままとかね」
「何があってもよね」
「若し自分が行けないならね」
「家族の他の人に行ってもらう」
「そうよ、若し新しい子が来たとかでもしても」
「飼い主失格よね」
「二匹いたら公平に愛情を注ぐ」
 絶対にというのだ。
「そうしないとね」
「駄目よね」
「赤ちゃんが生まれてもよ」
「赤ちゃんを育てて」
「ワンちゃんもね」
 これまで飼っていた相手もというのだ。
「ちゃんとよ」
「面倒見ないと駄目ね」
「それで飼育放棄する人は命を何とも思っていないのよ」
「そう言うとヒトラーやスターリンみたいね」
「そうね、そんな人が権力握ったらよ」
「同じことするのね」
「自分の都合で命を粗末にするわよ」
 そうするというのだ。
「中には自分達が旅行に行くから猫を保健所に捨てる人もいるそうだから」
「ペットのホテルに預けたら?」
「知らないか知っていてもお金かかるからね」
「本当に命を何とも思ってないのね」
「可愛がってた娘さんが泣いてたらしいけれど」
 それでもというのだ。 
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