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イベリス

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第七十八話 夏バテも考えてその九

「暑さにはね」
「弱いわね」
「だからね」
「お散歩はあくまで涼しい時にすることね」
「そうよ、だからね」
「今行ってきたのね」
「そうしたのよ」
「ワンッ」
 見れば玄関の先リビングに入るところにモコがいた、そうして咲の方を向いてそのうえで一声鳴いてきた。
 そのモコを見てだ、咲は母に言った。
「お散歩に行けて気持ちよさそうね」
「そうでしょ、お昼はずっと寝てたのよ」
「暑いから」
「それでお昼寝しててね」
 それでというのだ。
「夕方になったら起きてきて」
「それでなの」
「ケージから出て来てよ」
 そうしてというのだ。
「お母さんのところに来てね」
「お散歩行こうって?」
「お顔見上げて鳴いてね」
「おねだりしてきたの」
「それで連れて行ったのよ」
「何か可愛いわね」
「そうでしょ、だからお母さんもよ」
 娘に笑って話した。
「ついついね」
「お散歩になの」
「連れて行ったのよ」
「そうだったのね」
「ええ、お母さんにとってもいい運動になったし」
「そういえばお母さん今日パートは」
「お休みよ」
「それでお散歩が丁度いい運動になったらね」
「パートに行くとね」
 母はこの場合も話した。
「お仕事でかなり動くからね」
「それがいい運動になるのね」
「そうだけれど」
 それがというのだ。
「お休みの時はね」
「お散歩がそうなるのね」
「ええ、パートの時も行ってるけれど」
「お休みの時は尚更なのね」
「いい運動になるから」
「行ってるのね、私も行くのに」
「お母さんが一番多いわね」
 自分から言ってきた。
「それは意識してよ」
「運動する為でもあったの」
「そうよ、運動しないとね」
 さもないと、というのだ。
「やっぱりよくないでしょ」
「健康の為にね」
「あんたも何だかんだで歩いてるじゃない」
「運動は嫌いだけれど」
 それでもとだ、母に話した。
 ここで二人共靴を脱いで玄関から上がった、そうして一緒にリビングに向かいながらそのうえで話していった。
「歩くことはね」
「嫌いじゃないわね」
「だからモコのお散歩も行くし」
 それにというのだ。
「学校にも行く時もアルバイトの時もね」
「歩くわね」
「ええ」
 母にそうだと答えた。
「そうしているわ」
「それがいいのよ」
「歩くことも運動ね」
「そうよ」
 その通りだと答えた。 
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