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機動6課副部隊長の憂鬱な日々

作者:hyuki
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第1話:怪しい勧誘には気をつけて・・・

ここは,ミッドチルダの首都クラナガンの繁華街にある、喫茶店だ。
俺は,ある女性との待ち合わせのためにこの店に来ていた。

(しかし、こんなメールを送ってくるなんて,あいつも相変わらずなのな)

俺の端末には,昨日送られてきたメールが表示されていた。

=================================

愛しのゲオルグくんへ


 ちょっと話したいことがあるから、

 明日の昼休みにいつものお店に来てな☆


  PS

  バックれたらゲオルグくんの恥ずかしい秘密#21を局中に公開するので
  そのつもりで!
   
                 八神はやて

=================================

(#21ってなんだよ・・・てか,いくつあるんだ??)

 しばらくコーヒーを飲みながら待っていると,ふざけたメールを送りつけてきた
 張本人が現れた。

 「いやー、ゲオルグくんと直接会うのも久々やなぁ。あ、アイスティー1つ」

 「ああ,久しぶり・・・ってこのメールはなんだよ!
  てか、恥ずかしい秘密#21って何!?」

 「ん?それをここで話してしもてええのん?誰が聞いてるかわからへんよ?」

 はやてはそう言うと,意地わるそうに笑った。 
 
 「すまん。勘弁してくれ。」

 俺は、両手を上げて降参するしかなかった。



 しばらく,お互いの近況なんかを報告しあいながら雑談をして,
 ふと会話が途切れた時に、はやての表情が急に真剣なものに変わった。

 「でな。今日ゲオルグくんを呼び出したんは,頼みことがあるからなんよ」

 「お前に貸す金ならねーですけど」

 俺がそう言うとはやての表情が少し険しくなった。

 「私は真剣に話してるんやけど。」

 「わりぃ、真面目に聞くよ。で? 仕事がらみ?」

 「うん,実は今度本局の古代遺物管理部で新しい部隊を作ることになってんけ
  ゲオルグくんにも来て欲しいんよ」

 「部隊を・・・作る?すまん。よく理解できないんだけど。」

 「えっと、どう言うたらええんかなぁ・・・」

 それから,はやては,ロストロギアに即応できる部隊を作ること、
 はやてがその部隊の部隊長になることそのための,人材集めをしている
 最中であることを説明してくれた。

 「ふーん,なるほどね。やっと理解できたよ。しかしなぁ。」

 はやての説明の中では今決まっている人員の話もあったのだが,
 ロストロギアへの即応では説明がつかないくらいの戦力だった。

 「まぁヴォルケンリッターはいいとして,なのはとフェイトも呼ぶのか? 
  やりすぎだろ。あと俺不要。」

 「いやいや、ゲオルグくんが来てくれんと,私はだいぶ困るで。」

 「なんで?戦力的には十分でしょ。てか能力リミッターかけないと
  いかんぐらいでしょ?これ以上集めてもしょうがないじゃん」

 「ん~、ゲオルグくんに来て欲しい理由は戦力もあるんやけど,
  それより大きい理由があんねん」

 「何さ。もったいぶらないで早く話せよ。もう時間ないし」

 もうそろそろ昼休みも終わろうという時間が近づいていた。

 「さっき見せた通り,個々の能力的には申し分ない人間を揃えたつもり
  なんやけど,なのはちゃんもフェイトちゃんも集団戦の指揮って
  まともにとったことないんよ」

 「いや、なのはもフェイトもかなり現場経験積んでるじゃん」

 「うーん,そうなんやけど,なのはちゃんは基本戦技教官やし,
  フェイトちゃんは執務官やから個人行動が多くてな。
  まともに部隊の指揮なんかやったことないんよ。」

 「じゃあ、はやてがその分フォローすりゃいいでしょうが。
  何のためのキャリア研修さ?」

 「それやと、部隊を2つに分けて対応するときの代役がおれへんやろ。
  そやから,その代役が欲しいっちゅうのが1つ目の理由」

 「まだあんのかよ」

 「あとはな、こう知り合いが多い部隊やとどうしても規律とかに対して
  ルーズになるやんか。そこをバシっとやってくれるのを期待してんのよ。
  ゲオルグくんそういう切り替えうまいやんか」

 「それこそはやての役目じゃないのかよ・・・って,はやてじゃ無理だな。
  冗談にしか聞こえないわ」

はやてでは身内成分が強すぎるし,onとoffの切り替えもうまいほうじゃない
からそういう抑えは効かないだろうと思った。

 「そやろ。ちゅうわけでゲオルグくんには是非うちに来て欲しいんやけど。」

  (はやてが俺に来て欲しい理由はわかったし、納得もできるんだけど・・・)

 「悪い。即答はできないわ。俺も部隊長だし、
  いろいろしがらみもあるからさ。」

  俺がそう答えるとはやては少し残念そうに笑っていた。

 「まぁ,そうやろうね。でも1ヶ月くらいの間ではどっちにしろ答えが
  欲しいんやけどな」

 「わかったよ。俺もはやての力にはなりたいと思ってるから、
  なんとか考えてみるわ」

 「ありがとうな。ほんならまたね」

  


 はやてと別れてから職場に戻る道中,俺は自分のデバイスに相談していた。

 [なぁ、レーベン]

 《なんですか?マスター》

 [はやての話,どう思う?]

 《・・・非常に言いにくいのですが》

 [いいよ、はっきり言ってくれ]

 《何か裏があるのは間違いありませんね。あれだけの戦力を集中させる
  理由として,ロストロギア対応は弱すぎます》

 [だよなぁ。じゃあ裏ってなんだろ?
  俺ははやての誘いに乗っていいんだろうか?]

 《どちらも情報不足です。マスター》

 [うん。わかってる。そのへんをはっきりさせたいとこだね]

 《ええ、ですが。》

 そこで,レーベンが珍しく言い淀んだ。

 [どうしたのさ。] 
 
 《はやてさんはむやみに人を傷つけるような方ではないと思います。
  信じてもいいのではと考えます。》

 [レーベンにしては情緒的な回答だね。]

 《私はマスターが傷つくのを見たくないだけです。
  あと,時にはマスターが光の当たるところに立たれるのもよいのでは
  と思いまして》

 [そっか。ありがとうな,レーベン]

 いずれにせよ,今の仕事をどうするかとか考えないといけないことも
 いろいろあるし、ここは頼りになる上官にでも相談してみることに
 しようと思う。

   
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