八条学園騒動記
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第六百七十八話 従姉と弟と三人でその五
「我が国って」
「ええ、しかもこう言ってもね」
メアリーは溜息混じりに述べた。
「我が国はね」
「変わらないね」
「目立たないままだね」
「目立たないことが個性なら」
従弟二人に話した。
「もうね」
「カナダはだね」
「それが個性だね」
「そのトップよ」
目立たなさのというのだ。
「他の国の追随を許さないね」
「そんな追随いらないよ」
はっきりとだ、トムは言った。
「絶対に」
「そうよね」
「目立たないとね」
「連合じゃどうしようもないわ」
「石ころみたいなものだよ」
「連合で目立たない国は」
「本当にね」
トムはまた言った。
「この苦しみ他の国にはわからないよ」
「他の国の人達にはね」
「全くだよ」
シッドも困った顔で言う。
「カナダのドラマもアニメも小説もね」
「目立たないからね」
「赤毛のアンはアメリカの作品じゃないから」
このことを強く言った。
「カナダだよ」
「それ間違える人多いからね」
「モンゴメリーはカナダ人だから」
アメリカ人でなくというのだ。
「本当に」
「間違えないで欲しいね」
「そうだよね」
「数少ないカナダの有名なところなのに」
「間違えられること多いから」
だからだというのだ。
「困るよ」
「赤毛のアンはカナダ」
「モンゴメリーはカナダ人」
「そこも間違えられるから」
「アメリカ人だって」
「思えばね」
メアリーは困った様な顔で述べた。
「アメリカが隣にあったから」
「地球にあった頃はね」
トムもその顔で応えた。
「お隣にあの国があって」
「もうね」
それこそというのだ。
「ずっとよ」
「あんな目立つ国が隣にあったから」
「どうしてもね」
「目立てなかったよ」
「自己主張も弱くて」
メアリーもこのことを話した。
「そして個性もね」
「弱いから」
「そのせいで」
まさにというのだ。
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