| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

イベリス

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七十七話 夏休みの勉強その六

「正しいんだ」
「馬鹿を馬鹿ってわかってる?」
「それがな」 
 まさにというのだ。
「いいんだ」
「そうなのね」
「法律は確かに窮屈でな」
 父はその法律の話もした。
「どうかというものもあるな」
「校則もそうだけれどね」
「それがルールだ、けれど法律がないとな」
「世の中滅茶苦茶になるわね」
「自分達はそんなものに従わない、好き勝手やる」
 その様にすると、というのだ。
「その辺りの不良、国際社会で言うと北朝鮮だ」
「あの国ね」
「あの国はとんでもない国だな」
「ならず者国家って呼ばれてるしね」
 外にはテロ支援国家もある、兎角評判の悪い国である。
「あそこは」
「ああなるんだ」
「あれが法律を無視するってことね」
「そう言うとわかるな」
「最悪のトラブルメーカーよね」
「そうだ、ちゃんと生きたいならな」 
 父は咲にあらためて話した。
「法律は守る、どうかという法律はあらためる」
「そうしていけばいいのね」
「今はそれも出来るしな」
「そうしたことを言う政治家や政党を支持することね」
「それだけだ、禁酒法をなくしたいならな」 
 その頃のアメリカの話もした。
「それを言う大統領を誕生させればよかったんだ」
「そういうことね」
「だからな」
 それでというのだ。
「それも出来るしな」
「どうかという法律は変える」
「それだけなんだ、悪いのはな」
「法律を守らないことね」
「そうしたら北朝鮮になるんだ」
 国際社会で言うと、というのだ。
「法律を破るのは恰好いいんじゃない」
「馬鹿なのね」
「それで麻薬なんてやってな」
「身体も心もボロボロになるのね」
「権力に反対しているとか言ってな」
「それが本当の馬鹿ね」
「そうだ、そして権力に反対していてテロで人を殺してもいいならな」
 そう主張するならというのだ。
「自分が殺されるか」
「そう言う人程真っ先に逃げるわね」
「泣き叫んで必死に命乞いするかもな」
 自分が殺されそうになるとだ。
「そうなるかもな」
「それも醜いわね」
「そうだな」
「自分が殺されないから言うのね」
「そうな、そして殺される人や遺族の人達のことはな」
 そうした人達のことはというのだ。
「全く考えなくてな」
「考えようともしないのね」
「咲がそんな風だったらお父さんもお母さんも心から泣くぞ」
 父はこのことは真顔で言った。
「本当にな」
「どうしてなの?」
「自分達の子供はこんなに馬鹿なのかってな」
 そう思ってというのだ。
「そして自分達はこんな馬鹿な人間を育ててしまったかってな」
「思ってなの」
「泣くぞ」
「そうなるの」
「他の人の痛みや苦しみ、悲しみをわからないでな」
 それでというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧