イベリス
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第七十七話 夏休みの勉強その五
「それで人が殺されてもいいっていうことよね」
「そうだ」
父もその通りだと答えた。
「平気で言ってのけたんだ」
「殺される人の痛みや苦しみも考えない人よね」
「遺族の人もな」
「そんなこと言ったらドキュンのやりたい放題でしょ」
「そうだな」
父もその通りだと答えた。
「漫画に出て来るみたいな悪党のな」
「モヒカンみたいな連中のね」
「そうなるのは誰でもわかるな」
「だってテロを許したらやりたい放題じゃない」
「法律も何もなくてな」
「無茶苦茶になるわよ」
「そんなこともわからなくてな」
それでというのだ。
「言ったんだ」
「そうだったのよね」
「ああ、そしてな」
それでというのだ。
「皇室でも何でもな」
「否定したって聞いてるわ」
「もうそれこそな」
「権力に反対する人達なら何してもいい」
「そう言い切ったんだ」
「馬鹿でしょ」
咲は眉を顰めさせて言った、これまで生きてきた中で。
「もうね」
「そうだな、お父さんも思う」
「そうよね」
「こんな馬鹿だとな」
それこそというのだ。
「そもそも法律も否定するしな」
「権力だって否定するし」
「だからな」
「麻薬だって手を出すのね」
「そこまで馬鹿だとな」
それこそというのだ。
「そうするぞ」
「そうなのね」
「ここまでの馬鹿だとな」
「そんなこともするのね」
「馬鹿も極まるとな」
「そうしたこともするのね」
「お父さんはその話を聞いて思った」
まさにというのだ。
「こんな馬鹿が麻薬に手を出す」
「そうなのね」
「馬鹿も極まるとな」
「簡単なことも考えなくて」
「そんな考えをして」
「麻薬もするんだ」
そうだというのだ。
「誰もしないことをして恰好いいとかも考えてな」
「麻薬をしないのは犯罪だからでしょ」
法律で禁止されている、覚醒剤はかつてヒロポンと呼ばれ合法で煙草屋でも売っていた。だが非常に危険であるので禁止されたのだ。
「それで身体にとんでもなく悪いから」
「しないんだ」
「普通の人はね」
「けれどな」
それがというのだ。
「法律、権力を否定してな」
「権力に反対する自分恰好いい?」
「そう考えてな」
それでというのだ。
「やるんだ」
「それで中毒になるの」
「そういうことだ」
「物凄い馬鹿ね」
咲はここまで聞いて首を傾げさせた。
「それで身体も心もボロボロになるって」
「そこで馬鹿と思えるとな」
父はそれならと述べた。
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