ハッピークローバー
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第四十三話 全く以て同感その六
「終わらないのはね」
「残念よね」
「そう思うと」
理虹は考える顔になって述べた。
「四十年連載して終わったお巡りさんの漫画はね」
「葛飾のあれ?」
「そう、あの漫画ね」
実加にこう話した。
「あの漫画は終わってね」
「よかったのね」
「ええ、やっぱり終わってこそね」
「作品はいいのね」
「それで作者さんも頑張って欲しいわ」
理虹は真剣な顔で言った。
「完結まで書いて欲しいわ」
「皆思うことね」
「続きが読みたいっていうのはね」
「結末を読みたいってことよね」
「だからね、どんな状況でもね」
「完結まで描くことね」
「そう、それでね」
そのうえでというのだ。
「終わってよかった」
「そうなることね」
「幾ら滅茶苦茶な結末でも」
「終わるのならいいのね」
「ほら、マジンガーとかデビルとかの」
「あの凄い派手な漫画描く人?」
実加は姉の言った二つの言葉から察した。
「女の子がすぐ裸になる」
「その人の漫画よ」
「あの人の漫画って終わるわよね」
「終わるけれど終わり方凄いでしょ」
「私よく知らないけれど大抵世界が滅茶苦茶になって終わるのよね」
「もう何もかもをぶち壊すみたいにね」
それこそハルマゲドンの様にだ、この人の作品の終わらせ方はその作品数の桁外れの多さもあってあまりにも有名になっている。
「続きなんて描けない位に」
「下手な打ち切りより凄いのよね」
「そうした終わり方が大抵だけれど」
それでもというのだ。
「終わらせるだけね」
「いいのね」
「まだね」
「そういうものなのね」
「終わらせることはね」
理虹はまた言った。
「やっぱりよ」
「それだけで違うのね」
「そうよ、ハンター何とかの作者さんも」
その彼もというのだ。
「終わらせないとね」
「駄目ね」
「あの作品どれだけ描いてるのよ」
「いや、どれだけ描いてないのよでしょ」
「連載はじまってからどれだけ経ってるかってことよ」
そうした意味で言ったというのだ。
「一体ね」
「そういうことね」
「実際それだけはかかってるでしょ」
「それはそうね」
「本当に真面目に描いてたらとっくに終わってる位に」
そこまでというのだ。
「歳月は経ってるのに」
「終わっていないから」
「本当にね」
「終わらせて欲しいわね」
「全くよ」
姉妹でこう話した、そして。
理虹は自分の手元にあった上下二巻の今現在話題になっている作品の単行本のどちらの巻を見てこんなことを言った。
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