ハッピークローバー
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第四十三話 全く以て同感その五
「その場所から登場人物が時代が進んでも出られなくなって」
「SFみたいね」
「延々とお話が続く」
「ループして」
「そうなったらしいけれどね」
「それって終わらないんじゃ」
妹はループと聞いて言った。
「ちょっと」
「それが何とかね」
「終わる予定あったの」
「作者さんにはあったみたいだけれど」
「空襲とお母さんのことでなのね」
「気落ちしてね」
精神的に執筆出来る状況でなくなったのだ。
「それでね」
「未完になったの」
「明暗はまだね」
先程話に出した夏目漱石の作品はというのだ。
「結末が見えた」
「そこでなのね」
「もう最後を書こうって時だったから」
「漱石さんピーナッツの食べ過ぎで亡くなっても」
「まだいいかもだけれど」
「大菩薩峠はなのね」
「まだね」
それこそだったのだ。
「どうなるかわからない」
「それで未完だったのね」
「三十年以上書いてそれもないと思うけれどね」
「三十年ね」
「あんたの倍位だからね」
「私今中三だからね」
「今年十五歳になるでしょ」
こう妹に言った。
「だったらね」
「倍ね」
「それだけ書いてもね」
「終わらなかったのね」
「それって凄いわよね」
「ええ」
妹も頷いて応えた。
「それだけ書いたら普通は」
「終わるわよね」
「そんなに書いてる作品なんて」
それこそというのだ。
「そうそうないわよ」
「そうでしょ」
「漫画でも滅多にないし」
「小説でもね」
「滅多にないわね」
「十年でね」
それだけかけてというのだ。
「相当よ」
「それだけの長期連載でもびっくりよね」
「二十年になるともっと少なくて」
連載がだ。
「そしてね」
「三十年になると」
「漫画でも小説でも」
「数える位しかないわね」
「そこまで書ける人もいないから」
一つの作品をというのだ。
「途中でエタることもあるし」
「打ち切りだってるわね」
「ええ、だから大菩薩峠はね」
「三十年以上続いて」
「それだけで凄かったのに」
それがというのだ。
「そうなってね」
「未完ね」
「残念なことにね」
「本当に残念ね」
「長期連載になって」
大菩薩峠の様にというのだ。
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