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イベリス

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第七十六話 狭いが多彩な街その十三

「殆どよ」
「列車撮ったりすることもしないわね」
「特にね、正直撮り鉄の人達でね」
「とんでもないマナーの人いるわね」
「ああいうのはね」 
 顔を顰めさせて話した。
「とてもね」
「駄目ね」
「ええ、酷過ぎると思うわ」
 実際にというのだ。
「あれはないわ」
「私もそう思うわ、最低限のマナーはね」
「守るべきよね」
「どんな人もね」
「何が好きでも」
「天皇陛下に失礼もするし」
 お召し列車に乗っておられる陛下のお姿を許可なく撮ったのだ、陛下は笑顔であられたがこれがとんでもない無礼であることは言うまでもない。平成のことである。
「酷過ぎるわ」
「天皇陛下にって」
 咲もこの話には唖然となった。
「流石にそれはね」
「ないでしょ、お写真撮ったらしいけれど」
「周りの許可得ないで?」
「近寄ってね」
「それ国によったら洒落になってないわよね」
「ナチスやソ連でしたらどうなると思う?」
「粛清間違いなしね」
 咲もこのことはすぐに言えた。
「ヒトラーやスターリン相手だと」
「命ないわよ」
「その場で射殺されても文句言えないわね」
「そもそも近寄ろうとしたら」
「その時点で終わりね」
「そうなるから」
 だからだというのだ。
「本当に国によってはよ」
「洒落にならないことになるわね」
「こんな馬鹿なことをする人もね」
「撮り鉄にはいるのね」
「他にも色々とやるから」
 一部撮り鉄の中にはだ。
「だからね」
「問題だって言われているのね」
「そうよ」
 実際にというのだ。
「これが」
「そうなのね」
「これは流石に駄目だから」
「気をつけないとね」
「どんなことでもマナーは守りたいわよね」
「マニアにはマニアのマナーがあるからね」
 咲もそれはと頷いた。
「やっぱり」
「私達も守っていかないとね」
「本当にね」
 愛の言葉に頷いて時間が許す限り駅前巡りをしていった、そうしてそれぞれの家に帰った。咲は家から帰るとこの日も勉強をした。それは欠かすことはなかった。


第七十六話   完


                 2022・8・23 
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