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八条学園騒動記

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第六百七十七話 虫になるその十

「左様ですね」
「他の国でもそうしているわね」
「水田でもな」 
 フックも言った。
「おたまじゃくしがいるけれどな」
「蛙の子供ですね」
「そのおたまじゃくしもボウフラ食うな」
「左様ですね」
「そして蚊になってもな」
「蛙は食べますね」
「ああ、それにな」
 フックはさらに言った。
「水田の上はよく蜻蛉が飛んでいるな」
「藪の上もですね」
「あれはただ飛んでいるだけじゃないな」
「そこに餌がいるからです」
「それが蚊だな」
「そうです、蚊を食べる為にです」
 まさにその為にというのだ。
「蜻蛉はです」
「そうしたところを飛んでるな」
「左様です」
 まさにというのだ。
「そうしています」
「そうだな」
「そして他の害虫もです」
 人から見てそう呼ばれる虫達もというのだ。
「同じです」
「天敵が多いな」
「鳥や爬虫類もです」
「そうした虫食うな」
「孔雀もです」
 尚この鳥はマウリアの国鳥でもある。
「毒蛇も食べますが」
「害虫も食うな」
「そうしますので」
「孔雀も天敵か」
「そうなのです」
「それであいつは食われることもか」
「これから多いです」
 実際にとだ、セーラは答えた。
「生まれ変わる中で」
「嫌なことだな」
「悪人は輪廻の中でそうなります」
「そうして苦しむか」
「そうです」
「そういえばだ」
 タムタムは考える顔で言ってきた。
「悪いことをすると犬畜生に生まれ変わるとな」
「言われていますね」
「よくな」
「しかしあまりにも悪いとです」
「地獄に落ちてか」
「そしてです」
 そのうえでとだ、セーラは答えた。
「その後もです」
「そんなのにばかり生まれ変わるか」
「そして忌み嫌われてです」
「駆除されたり食われてか」
「苦しみます」
「そうなるか」
「ですから悪いことはです」
 そうだとされる行いはというのだ。
「出来る限りです」
「しないことだな」
「そうすることなのです」
 こう話した。 
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