恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百三十一話 鱗、襲撃を受けるのことその七
「その欲望、私が断ち切る!」
「私の国を築くことが欲望だというのね」
「この世を魔界にせんとするその欲望をだ!」
「人だけで何が面白いのかしら」
落雷は使えない。しかしだ。
その両手から繰り出す蛇の如く黒い瘴気を以てだ。司馬尉は関羽と闘っている。
その瘴気を放ちつつだ。彼女は言うのだった。
「魔がいてこ世界は彩られるというのに」
「そしてその魔の上にか」
「そう。私が君臨するのよ」
振り下ろされる関羽の大刀をだ。瘴気で絡め取った。
そうしながらだ。彼女は関羽に告げる。
「その魔界においてね」
「貴様、では」
「魔王だというのかしら」
「そうでなないのか」
「魔王ではないわ」
それは否定する。悠然とした笑みでだ。
その笑みには闇が満ちていた。その笑みで関羽に告げるのである。
「私は王ではないわ」
「王ではない。では何だ」
「皇帝よ」
目がだ。紅く無気味に輝く。
「私は魔界の絶対者になるのよ」
「だから皇帝なのか」
「魔皇帝ね」
まさにだ。それになるというのだ。
「それが私なのよ」
「皇帝。前にも言っていたが」
「この九尾の狐の力、いえ」
「いえ、何だ」
「見るがいいわ」
言いながらだ。関羽と攻防を続けていた。
大刀と瘴気が力比べをしている。その中でだった。
司馬尉はその背にあるものを見せてきた。それは何かというと。
司馬尉に血を与えた狐だ。尾が九つある。しかしだ。
それだけだはなかった。狐の頭も九つだった。そのあまりもの異形の狐を見てだ。関羽はその顔に驚愕を見せた。
「その狐は!」
「知っているかしら」
「あの人を喰らう狐か」
「そうよ。私の中の狐がさらに力を増してね」
「その狐になったというのか」
「九尾の狐がさらに生きるとね」
どうなるかというのだ。それにより。
「九頭も得るのよ」
「そして妖力をさらに強めるのか」
「これでわかったかしら。私は魔界の皇帝になるのよ」
「魔王を超えて」
「そう。その私を防ぐことは誰にも出来ないわ」
人の笑みではなかった。完全に異形の者の笑みだった。
そしてその九頭の狐の力でだ。関羽を押してきていた。
「さあ、貴女を喰らってあげるわ」
「くっ!」
「九頭の九尾の狐のこの力でね」
関羽が押されてきていた。この戦いは危うくなってきていた。しかしだ。
その司馬尉のところにだ。弓が来た。そしてだ。
瘴気を横から撃ち威力を弱めた。その隙にだ。
関羽は瘴気から脱してだ。一旦後ろに大きく跳んだ。そうしてだ。
何度か後方宙返りをして着地した。そして弓矢が来た方を見た。そこにいたのは。
「紫苑!」
「間に合った様ね」
黄忠だった。そしてだ。
他の者達もいた。五虎将が全員だ」
「愛紗、危なかったのだ!」
「まさか御主が押されるとは思わなかったがな」
「あたし達も助太刀するぜ!」
張飛、趙雲、馬超がだ。それぞれ関羽に言う。
「これで五対一なのだ」
「一人では無理でもこれならどうか」
「幾ら化けものでもな」
「それにしても。私達も見せてもらったわ」
黄忠は深刻な面持ちで司馬尉を見つつ述べた。
「その九頭をね」
「貴女達も見たのね。私の中にあるものを」
「御前、本当に人間じゃないのだ」
張飛もだ。このことについて言う。
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