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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百三十一話 鱗、襲撃を受けるのことその五

「この気配、尋常なものではないな」
「あいつは一族を裏切った」
 顔の下半分を隠している覆面の下にだ。表情は消していた。  
 しかしその目に嫌悪を見せてだ。鱗は話すのだった。
「そして闇の力を手に入れた」
「そのうえでか」
「闇の中に入った。そのあいつをだ」
「倒すことは貴殿の務めか」
「必ず倒す」
 他ならぬだ。鱗自身がだというのだ。
「だからだ。あいつは俺に任せてくれ」
「うむ、わかった」
 大門は鱗のその言葉に頷いてみせた。
「それではだ。この戦いをだ」
「勝つ。必ずな」
 こう話しながらだ。彼等は平原を進みだ。夜明け近くにだ。
 まだ暗い平原の真っ只中でだ。彼等と会ったのだった。
「来るねえ、やっぱり」
「何かもう御決まりね」
「察しているのね」
 社にバイスとマチュアが言う。彼等もいた。
「まあ。今回は楽しみで攻めて来たんだがな」
「戦いたくてね。決戦の前に」
「それで来たのだけれど」
「言ってくれるものだ」
「戦いは遊びですか」
 その彼等にだ。キムとジョンが言い返す。
 そしてそのうえでだ。彼等はそれぞれバイス、マチュアの前に来た。そのうえでだった。
 オロチの女達にだ。こう告げたのである。
「世界滅亡の野望を捨てろ」
「そんなことをしても何もなりませんよ」
「それは人間の考えね」
「オロチの考えは別よ」
 当然だがだ。オロチは彼等の言葉を否定した。
 そのうえでだ。二人に対して言うのだった。
「ここで数を減らすのもいいわね」
「じゃあ行くわよ」
「貴様等のその望み、何としてもだ」
「防いでみせましょう」
 キムもジョンも構えに入る。そのうえでだ。
 彼等は戦いに入った。そしてその横では。
 社がだ。既に大門と戦いに入っていた。その中でだ。
 彼はだ。こう大門に言うのだった。
「あんたと俺は似た技を使うがな」
「投げるものか」
「それに地震だな」
 それもあるというのだ。
「技自体は似ているよな」
「確かにな。それはな」
「けれど他は全然違うな」
 大門が繰り出す地震をだ。社はしゃがんで身を護りだ。
 そのうえで防いだ。そして言うのだった。
「まるで水と油だな」
「少なくともわしは御主を認めない」
「認めないっていうのかね」
「性格はどうでもいい。しかしその考えはだ」
「俺のオロチとしての考えはっていうんだな」
「何故世界を滅ぼそうとする」
 拳を繰り出す。しかし社はそれを防ぐ。
 逆に社が大門の頭を狙い蹴りを繰り出す。しかしそれはだ。
 大門が防ぐ。彼等は攻防を繰り返しながら己の言葉もぶつけ合っているのだ。
 その中でだ。大門は社に問うたのである。
「この世界を。それは何故だ」
「だからな。オロチだからだよ」
 澱みはなかった。全くだ。
 当然といった口調でだ。彼は大門に述べたのである。
「わかるよな。俺は人間じゃないんだよ」
「人ではないというのか」
「ああ、身体は人さ」
 しかしそれでもだというのだ。彼は。
「だが心はオロチなんだよ」
「それ故にだというのか」
「俺はオロチ、人間じゃないんだよ」
 攻防を続けながらだ。彼は話すのだった。
 
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