恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百三十話 牙刀、しがらみを断ち切るのことその一
第百三十話 牙刀、しがらみを断ち切るのこと
于吉がだ。闇の中で左慈に話していた。
その話とはだ。こうしたものだった。
「それにしてもですが」
「連中か」
「はい。ここで出陣されますか」
「奴等には奴等の戦いがあるからな」
「それはわかるのですが」
どうしてもだとだ。釈然としない感じで言う于吉だった。
そのうえでだ。彼はこう左慈に述べた。
「私としましては決戦に戦力を少しでも置いておきたいのですが」
「だからだな。奴等を行かせたくなかったか」
「はい。ですが御二人はですか」
「出て行った。もうな」
左慈は于吉に話す。そうしてだ。
彼はだ。眉を顰めさせている于吉にだ。落ち着いた顔で言うのだった。
「あの連中は指揮官じゃない。だから別にいいと思うが」
「刺客ですね。どちらかというと」
「ああ、あの連中はどちらも一匹狼だ」
「だから決戦にはいなくてもいい」
「正直勝つだろ、奴等なら」
「いえ、最悪の事態を考えるものですから」
まとめ役としてだ。その可能性について言及する于吉だった。
「だからなのですが」
「それでか。そういう事情だったんだな」
「その通りです。ですが出陣されたのならです」
今度はだ。仕方ないといった感じで述べる于吉だった。
「目的を果たすまで帰られない方々ですから」
「そうだ。諦めるしかないな」
「そういうことですね。それでは」
「今は決戦の場を整えるか」
「そうしましょう。あの地の問題は」
于吉が鋭い目になり述べようとするところでだ。ここでだ。
闇の中に司馬尉が出て来てだ。こう二人に言ってきたのだった。
「あの地は見渡す限りの平原だから私達には不利なことも多いわ」
「馬ですか」
「そう。私達は馬を持っていないから」
それでだというのだ。
「それに対して敵は騎兵が多いわ」
「はい、それに優れた指揮官も」
「しかも平原だから」
見渡す限りのだ。それもまた問題だと言う司馬尉だった。
「伏兵もできないわよ」
「陣を敷けば丸見えですね」
「完全にね。どうしようもないわ」
「ふむ。確かに癖の強い場所ですね」
「あと。こちらは弓もなくなったわ」
以前はあったという言葉だった。
「赤壁でかなり失ってしまったからね」
「あれは予想外だったな」
左慈がだ。そのことについて苦い顔で述べた。
「赤壁での戦いでは弓を思ったより使ったからな」
「ええ。ただその騎兵と弓のことだけれど」
「解決策があるのか」
「ええ、あるわ」
その通りだとだ。左慈に述べる司馬尉だった。
「それも簡単にね」
「そうなのか。あるのか」
「簡単にね。任せてくれれば何よりよ」
「わかった。ではそのことは任せる」
「北にあるものは何でも使うわ」
妖しい笑みでだ。言う司馬尉だった。
そしてその彼女の話を聞いてだ。そのうえで言う于吉だった。
「さて。それではです」
「打つべき手は全て打ってね」
「そのうえで最後の決戦に赴きましょう」
こう話すのだった。そうしてだ。
于吉はだ。最後にこう言った。
「では。丁度いい時間ですね」
「食事だな」
「はい、それにしますか」
「わかった。なら何を食う?」
「パンはどうですか?」
それはどうかというのである。
「それを召し上がられますか」
「そうするか。あんたはどうするんだ?」
左慈は司馬尉の顔を見て彼女にも尋ねた。
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