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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百二十九話 ほたる、父を見るのことその八

「大蒜を力の源にしている訳でもないだろうに」
「まあ何ていうかその辺りは」
「変わった奴だ」
 鱗は表情を変えずに述べる。
「普通牛乳は飲むと力が出るのだが」
「蒲公英だってそうだよ」
 その馬岱もだった。それは。
「牛乳飲むと力出るよ」
「だから俺の場合それは違って」
「けれどそれでも飲むんだ」
「皆から言われて。牛乳は飲むと身体にいいからって」
「そうよ。栄養の塊よ」
「わかってるんだけれど本当に」
 また泣きそうな顔で言う真吾だった。
「俺にとっては牛乳は」
「ううん。じゃあ馬乳は?」
 馬岱はここでこれを出した。
「馬乳ならどうなの?」
「馬乳っていうとあの」
「そう、文字通り馬のお乳よ」
 まさにそれだというのだ。尚馬岱は子供の頃からその乳を飲んでいる。
「知ってるわよね」
「ああ、知ってるけれどな」
「じゃあどう?飲んでみる?」
「牛乳みたいな味だよな」
「ちょっと違うわよ」
 味についても答える馬岱だった。
「同じお乳でもね」
「そうか。じゃあちょっと飲んでみるかな」
「はい、どうぞ」
 言ったすぐ傍からだった。馬岱は小さな壺を出してきた。そこに白いものが並々と入っている。
 それを見てだ。真吾は早速馬岱に尋ねた。
「それが馬乳か」
「そう。これがその馬乳よ」
「じゃあ早速」
 馬岱から受け取りだ。そのうえでだ。
 真吾は馬乳を飲んでみた。そしてこう言うのだった。
「あっ、結構合うかも」
「それは大丈夫なのね」
「っていうか美味いよこれ」
 馬乳についてはだ。明るい顔で話す真吾だった。
「これなら幾らでも飲めるから」
「よかったね。それと馬乳でもお酒できるから」
「あれか」
 ケイダッシュがその酒のことを聞いてすぐに言う。
「馬乳酒だな」
「それもあるけれどどう?」
「貰えるか?」
 ケイダッシュは馬岱の目を見つつ彼女に頼む。
「それも」
「いいわよ。それじゃあな」
「ああ、それではな」
 こうしてだ。ケイダッシュは馬乳酒を受け取った。そうしてだ。
 早速飲んでみる。それから言うのだった。
「美味いな、これも」
「そうでしょ。この国じゃこういうのって殆ど飲まれないんだけれど」
「馬岱のところでは飲むか」
「蒲公英や翠従姉様のいた涼州って異民族も一杯いたからね」
「その影響か」
「そう、それで飲むのよ」
 こうしただ。乳をだというのだ。
「他にもそっちの世界で言うヨーグルトやチーズ、バターもあるしね」
「あとあれだな」
 鱗がここで言った。
「蘇や酪、醍醐だな」
「そうそう、そういうのもあるから」
「あの、酪とか醍醐って」
 真吾は馬乳を飲みながらそうした食べものについて尋ねる。
「何かよくわからないけれどチーズみたいだよな」
「近いかも。そういえば」
「あれ美味いのかな」
「真吾の場合は牛乳のそれは駄目かもね」
「あっ、乳製品は大丈夫だから」
 それはいけるというのだ。
 
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