恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百二十九話 ほたる、父を見るのことその一
第百二十九話 ほたる、父を見るのこと
夜にだ。チャンとチョイは泣きながらドンファンとジェイフンに漏らしていた。夜は夜で食べている。今度は鍋だ。それを食べながら話をするのだった。
「ったくよ。今回ばかりは死ぬと思ったで」
「実際に何度も死に掛けたでやんすよ」
「今日のあれはもう修業じゃねえだろ」
「まさに地獄でやんした」
「ああ、本当によく生きてたな」
ドンファンもだ。心から彼等に同情しつつ述べる。
「直角の三十段の滝でな」
「上からどんどんものが落ちてきてな」
「えげつなかったでやんすよ」
「親父もジョンさんも何であんなの考え付いたんだ?」
息子から見てもだ。キム達のそれはわからなかった。
それでだ。こう言ったのである。
「前の馬鹿高い塔を登りながら上からあれこれ落としてそれをかわさせる修業とかな」
「ああ、そういうゲーム昔ありましたね」
ジェイフンもだ。話に乗る。
「かなり難しかったですね」
「ああ、まさにそのゲームだよ」
「あれを実際にやったのは僕もです」
「御前もやり過ぎだと思うだろ」
「想像の範囲を超えています」
それは絶対にだと言うのだ。ジェイフンもだ。
「今回の修業もですが」
「おう、何か俺達どんどん修業がエスカレートしてんだがな」
「冗談抜きで死ぬかも知れないでやんすよ」
またここで泣く二人だった。
「いやよ、確かに悪いこともやったさ」
「それでもあれはないでやんすよ」
「まああれは一番きつい修業だろ」
ドンファンは根拠なく楽観的に考えてだった。
そのうえでだ。こう二人に言ったのである。
言いながら鍋の中の魚を食べてだ。そのうえでの言葉だった。
「少しはましになるだろ、明日からはな」
「だといいんだけれどな」
「本当にそう思うでやんすよ」
「まあ修業の話はこれ位にしてな」
笑いながらだ。ドンファンはだ。
チャンとチョイに鍋の中から魚や野菜を取ってだ。そのうえで勧める。
そうしてだ。あらためて二人に言うのだった。
「食おうぜ。たっぷりとな」
「ああ、それじゃあな」
「頂くでやんすよ」
「川魚もまたいいものですね」
ジェイフンもだ。鍋の中の魚を箸に取り食べつつ話す。
「元の世界では海魚が多かったですが」
「そうだよな。韓国ってな」
「海魚が多いですよね」
「肉もよく食うけれどな」
こうだ。母国の料理のことを兄弟で話すのだった。
「やはり三方が海ですから」
「どうしてもそうなるよな」
「ああ、確かにな」
「韓国ではそうでやんすよ」
チャンとチョイもそうだと言う。その通りだとだ。
「魚は海のものばかりになってるな」
「けれど川魚もいいでやんすよ」
「ただしです。川魚はです」
ここで真面目に言うジェイフンだった。
「よく熱を通さないと危険ですから」
「ああ、虫な」
「それでやんすね」
「そうです。生で食べるのは厳禁です」
それは絶対にだというのだ。
「ですからこうしてお鍋にしてもよく火を通して食べてです」
「だよな。そうしないとな」
「本当に危ないでやんすよ」
「そしてよく火を通されたお魚はです」
ジェイフンは真面目な話からだ。にこりとなって述べた。
「とても美味しいものですね」
「ああ、幾らでも食えるぜ」
実際にどんどん食べるドンファンだった。そうしてだ。
チャンもチョイも食べてだ。鍋を楽しむのだった。修業の後は平和だった。
そしてその夜にだ。袁紹はだ。
自分の家臣達にだ。こう言われていた。
「鰻はいませんでした」
「残念ですが」
ここでも鰻だった。
「ですからあの余興は無理です」
「それは無理ですから」
「わかりましたわ」
とても不機嫌な顔で彼女達の言葉に頷く袁紹だった。
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